登記内容を間違えた場合の修正方法とは?「更正登記」について解説
更正登記
会社の登記事項に誤りがあり登記簿の内容が事実と異なってしまった場合、どのように修正を行えば良いのでしょうか。
今回は、「更正登記」について詳しく解説します。
更正登記とは、登記簿に記載された内容が事実と異なる場合に、それを修正するための手続きです。この修正には大きく分けて2つのケースがあります。
1.登記官のミスによる間違い(職権による更正)
2.申請者側のミスによる間違い(申請による更正)
1. 登記官のミスによる間違い(職権による更正)
登記官のミスによって登記内容が誤って記載された場合は、登記官が職権で更正登記を行います。この場合、申請者は修正にかかる費用を負担する必要はありません。
具体例
本店所在地を「東京都千代田区永田町一丁目11番28号5階」と申請したのに、登記官のミスで「6階」と記載されてしまった場合。
対応方法
・登記官に誤りを指摘し、修正を依頼します。
・登記官が事実確認を行い、職権で更正登記を実施します。
ポイント
・登記官のミスであることを証明できれば、申請者側に費用負担は発生しません(商業登記法第133条2項)。
・職権での更正手続きには時間がかかる場合があるため、早めの対応を心がけましょう。
2. 申請者側のミスによる間違い(申請による更正)
申請内容そのものが誤っていた場合、申請者が自ら更正登記を行う必要があります。このケースでは、登録免許税や添付書類の準備が必要です。
具体例
本店所在地が「5階」であるにも関わらず、申請書に誤って「6階」と記載してしまい、そのまま登記が完了した場合。
申請者側のミスのパターン
申請者側のミスには、以下の2つのパターンがあります。
・添付書類は正しいが、申請書だけが間違っていた場合
この場合、多くのケースでは法務局から訂正の連絡があり、修正を指示されます。ただし、稀にそのまま誤った内容で登記が完了してしまうことがあります。
・申請書も添付書類も誤っていた場合
これは、事実そのものを誤認していた場合や、誤った情報で書類を作成してしまった場合です。この場合、再度申請書類を準備し、正しい内容に基づいて更正登記を行う必要があります。
更正登記の手続きの流れ
1. 必要書類を準備する
更正登記を行う際には、以下の書類を提出する必要があります。
・登記申請書
・修正内容を記載した更正登記の申請書
・錯誤や遺漏を証明する書類
例:誤った内容で作成された取締役会議事録、上申書など。
・その他関連書類
必要に応じて定款や議事録の写しを添付します。
2. 登録免許税の支払い
更正登記の際には、登録免許税が発生します。以下に主な税額をまとめました。
対象 | 登録免許税 |
---|---|
本店所在地の更正登記 | 20,000円 |
支店所在地の更正登記 | 6,000円 |
資本金の額の増加に関する更正登記 | 増加する資本金の額 × 0.7% |
外国会社の更正登記 | 6,000円 |
3. 法務局への提出
必要書類を準備し、管轄の法務局に提出します。提出後は、登記内容の修正が完了するまで待つことになります。
更正登記と変更登記の違い
更正登記とよく混同されるのが「変更登記」です。この2つは以下のように明確に区別されます。
更正登記 | 変更登記 |
---|---|
誤りや遺漏がある内容を修正する登記 | 会社の実態に合わせて新たな情報を登録する登記 |
例:誤った本店所在地を正しい住所に修正する | 例:会社の本店所在地が変更した場合に新住所を登録する |
実務上の注意点
・早めの確認が重要
登記完了後に内容を確認し、間違いがないか早めにチェックすることが大切です。
・添付書類の正確性を確保する
議事録や定款など、添付書類が誤っていると更正登記が受理されない場合があります。
・専門家への相談を検討する
複雑なケースでは、司法書士や専門家に相談することでスムーズに手続きを進めることができます。
お手続きのご依頼・ご相談
会社の登記内容に誤りがあった場合、更正登記を行うことで修正が可能です。登記官のミスであれば費用はかかりませんが、申請者のミスの場合は登録免許税が発生します。添付書類は事案によって異なる場合があるため、事前に管轄法務局へ相談するのが望ましいです。また、更正登記と変更登記を混同しないよう、それぞれの手続きの違いを理解しておきましょう。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。