一時会計監査人とは?選任・権限や仮会計監査人との違い、登記手続きについて解説
一時会計監査人とは?選任・権限や仮会計監査人との違いについて解説
一時会計監査人
会計監査人が業務停止処分を受けたり、何らかの理由で辞任した場合、会社の会計監査業務を行う者がいなくなってしまいます。
会社法では、新たに会計監査人が選任されるまでの間、代わりに業務を行う一時会計監査人を選任しなくてはならないと規定されています。
この記事では、一時会計監査人の選任方法や任期、権限についてわかりやすく解説していきます。
一時会計監査人とは?
一時会計監査人とは、会計監査人が何らかの理由で欠けた場合に、業務に穴を開けないよう、一時的に業務を行う会計監査人のことを指します。
株主総会で選任された会計監査人が、何らかの理由で退職したり業務停止処分を受けた場合、本来であれば、株主総会の決議を行うことで新たな会計監査人を選任することになります。
しかし、定時株主総会が近い場合は別にして、臨時株主総会の開催には手間も時間もかかるため、会社法は、監査役会等が仮で会計監査人を選任することを認めています。
また、会計監査人については、役員のように権利義務者に関する規定がないため会計監査人が欠けた場合は仮会計監査人を選任しなくてはなりません。
第346条
4 会計監査人が欠けた場合又は定款で定めた会計監査人の員数が欠けた場合において、遅滞なく会計監査人が選任されないときは、監査役は、一時会計監査人の職務を行うべき者を選任しなければならない。
7 監査等委員会設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査等委員会」とする。
8 指名委員会等設置会社における第四項の規定の適用については、同項中「監査役」とあるのは、「監査委員会」とする。
一時会計監査人の選任方法
一時会計監査人の選任は、監査役が行います(会社法346条4項)。
ただし、監査等委員会設置会社の場合は監査等委員会が、指名委員会等設置会社であれば監査委員会が選任権者となります(会社法346条7項、8項)。
なお、株主総会において新たな会計監査人を選任する際は、一時会計監査人と同一人物を選任しなくても構いません。
一時会計監査人の職務を行うべき者(仮会計監査人)就任登記
仮役員(仮監査役など)などは裁判所が嘱託で登記をしますが、仮会計監査人は会社から登記申請をする必要があります。
仮会計監査人の変更
・登記すべき事項
令和●年●月●日仮会計監査人●●監査法人就任
仮会計監査人の資格は、公認会計士(個人)又は監査法人(法人)である必要があります。
登記添付書類
個人:公認会計士であることを証する書面
法人:履歴事項全部証明書(会社法人等番号記載で添付省略)
・就任承諾書(又は監査契約書)
・選任を証する書面(監査役会議事録、監査役決定書、監査等委員会議事録、監査委員会議事録など…)
なお、後任の会計監査人が就任した場合、仮会計監査人に関する登記は職権抹消されます。
就任登記は会社から申請しますが、抹消は職権で抹消されるという取扱いになっています。
一時会計監査人の任期
一時会計監査人の任期は、一時会計監査人の選任後に到来する定時株主総会の終結のときまでです。
一時会計監査人の権限
一時会計監査人の権限や資格、欠格事由などは、本来の会計監査人と同様です。
一時会計監査人と仮会計監査人の違い
一時会計監査人は仮会計監査人と呼ばれますが、両者は基本的に同じ意味で使用されます。
ただし、会社法上は「一時会計監査人の職務を行うべき者」と規定されているものの、登記記録上は「仮会計監査人」と表記されます。
手続きのご依頼・ご相談
何らかの理由で会計監査人が欠けた場合、新たに会計監査人を選任するまでの間、一時会計監査人を選任しなくてはなりません。
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