登記申請手続(各種)

上場に伴う各種登記変更を解説!上場準備においてするべき変更登記

上場準備と株式の譲渡制限規定の廃止


上場に伴う登記変更

企業の成長と発展のためには、ある程度の規模まで会社を大きくしたり、資本金を増額させたりしなければなりません。
その手段の一つとして、株式市場へ上場を考える企業は少なくありません。
株式市場へ上場するということは、企業にとって大きな一歩です。上場を目指す企業は、さまざまな準備を行い、株式に関する規定や組織機関を変更する必要があります。今回は、上場と登記手続きについて解説します。

上場準備に伴う各種登記変更

種類株式の廃止

まず、上場に向けた準備の一環として、種類株式を廃止して普通株式のみにする必要があります。
なぜなら、種類株式を廃止し、普通株式に統一し、上場市場での取引や投資家との関係を単純化し、流動性を高めなければならないからです。
種類株式は、投資家に異なる権利を与えるものであり、上場にあたっては、種類株式を発行してしまうと、複雑な株式構造となってしまいます。
この手続きは、株主やステークホルダーとの調整が必要な場合もありますが、上場への一歩として欠かせません。

株式の譲渡制限規定の廃止と取締役会の組成

次に、株式の譲渡制限規定の廃止が挙げられます。
株式市場では流動性が重視されるため、譲渡制限の撤廃は既存の投資家にとってもメリットといえます。
なお、株式が公開されることで、株主の無差別化が会社経営に大きく影響する場合があります。そのため、取締役会を設置し、取締役会によって、業務の執行をする体勢を構築しなければなりません。

また、取締役会を設置するとなると、その監査を強化しなければなりません。したがって、監査役会の設置も必要となります。
さらに、企業が上場することで、会社は公開会社になります。会社が非公開会社から公開会社に移行すると、取締役と監査役は退任しなければなりません。そのため、取締役と監査役の選任も必要となります。
取締役と監査役を選任するには、株主総会を召集して、株主総会の決議で行います。

また、代表取締役も退任となるので、取締役会を開催し、代表取締役を決定します。
ここで注意しなければならないのが、株主総会と取締役会が同日でない場合です。
この場合、同じ人物が同じ役職に選ばれても、重任とはなりません。登記の際は、退任+就任となります。
上場企業に求められる統治構造は厳格であり、公正な意思決定と透明性が求められます。そのため、新たな組織体制を構築するために、適格な候補者の選定と手続きが不可欠です。

株式分割

また、1株当たりの株価の調整を図るため、株式分割を行います。
株式分割は取締役会の決議によって、①株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日②株式の分割がその効力を生ずる日③変更後の発行可能株式総数を定めます。
株式分割と同じ割合であれば取締役会の決議のみで決定できます。これらの変更は、企業価値を適切に反映させるための措置であり、上場企業にとって市場での競争力を高める手段となります。

公告方法の変更やその他の定款変更

最後に、公告方法の変更やその他の定款変更も株主総会の決議を要します。公告方法が官報である会社は、日刊新聞紙もしくは電子公告への変更を要します。定款変更になるので、株主総会の決議で行います。電子広告に決定した場合は、電子公告によることができない事故その他のやむを得ない事由が生じたときは、日本経済新聞に掲載する方法により行う旨の記載もしなければなりません。

手続きのご依頼・ご相談

このように、上場するには、会社組織の変更から公告方法の変更まで、様々な手続きを要します。
このような手続きは、市場参加する株主を管理し、より充実した経営によって企業の成長と発展のために欠かせないものとなります。
会社・法人登記に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



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