反対株主の株式買取請求における「公正な価格」とは?算定基準についても解説
反対株主の株式買取請求における「公正な価格」とは?算定基準についても解説
反対株主の株式買取請求
合併や分割、株式交換、株式移転などの組織再編行為は、会社の組織を本質的に変更する行為であり、既存株主の地位に、重大な影響を与えるおそれがあります。
会社法は組織再編に反対する株主に対して投下資本の回収の機会を与え、会社に対して「公正な価格」で株式を買い取るよう請求することができます(会社法785条1項、797条1項、806条1項)。
反対株主が株式買取請求権を行使したにもかかわらず、組織再編の効力発生日から30日以内にこの買取価格について協議が調わない場合には、裁判所に価格決定の申立てをおこなうことができます(会社法786条2項、798条2項、807条2項)。
それでは、この「公正な価格」とは、何を基準に算定されるのでしょうか。
このコラムでは、公正な価格の意義や算定基準について、わかりやすく解説していきます。
「公正な価格」とは?
組織再編行為に対する反対株主の株式買取請求における「公正な価格」とは、次のように定義されます。
組織再編によりシナジー効果が生じ、その企業価値が上昇する場合には、当該シナジーを織り込んだ価格
組織再編により、企業価値が毀損される場合や企業価値の変動が生じない場合には、組織再編がなかったものと仮定した価格
参照:最高裁平成23年4月19日決定・民集65巻3号1311頁[楽天対TBS株式買取価格決定申立事件]
「公正な価格」を算定する基準
算定基準日は、原則、反対株主が株式買取請求をおこなった日です。
株式買取請求をおこなった日が基準日となる理由は、以下の 2つです。
・株式買取請求は自由に撤回できないため、無用な株価変動のリスクを負わせるべきではないことが挙げられます
また、算定基準については、原則、市場株価が算定の基礎資料となります。
非上場会社が組織再編する際の「公正な価格」
ただし、非上場会社については、市場価格が存在しないため、別の方法で公正な価格を算定する必要があります。
非上場会社で公正な価格を算定する方法には、次のようなものがあります。
DCF(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー)法
配当還元方式
収益還元方式
類似会社比準方式
純資産方式 など
これらの方法を複合的に利用する場合もあれば、それぞれの事例で1つの方法のみ利用するケースもあります。
手続きのご依頼・ご相談
反対株主の株式買取請求における「公正な価格」は、株主および会社の双方が納得する形で決める必要があり、上場会社の場合、市場価格で定めるのが基本です。
合併等に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。