本店移転を解説、定款変更必要な場合と不要な場合、本店所在地と本店所在場所の違いは?
株式会社の本店移転
定款の絶対的記載事項
第27条 株式会社の定款には、次に掲げる事項を記載し、又は記録しなければならない。とされています、
②商号
③本店の所在地(最小行政区画まででよい)
④設立に際して出資される財産の価額又はその最低額
⑤発起人の氏名又は名称及び住所
本店所在地と本店所在場所
上記に規定される本店の所在地とは最小行政区画までを指しますので「東京都千代田区に置く」まで定めれば良いことになっています。
一方本店所在場所というのは、「東京都千代田区永田町一丁目11番28号」などの詳細住所を指します。
定款は本店所在地(最小行政区画)まで定める会社が多いのですが、具体的な住所(本店所在場所)まで定めることも可能です。
ただ、具体的所在場所まで定めますと、最小行政区画以下が変わった場合(つまり上記例でいえば千代田区内で移転した場合)までも株主総会特別決議が必要となるため、あまりおすすめしません。
定款変更を伴う本店移転
上記、会社法27条3項が定める通り、本店の所在地は定款の絶対的記載事項です。したがって、本店の所在地の変更が伴う本店移転をするには、定款変更を行わなければなりません。
定款変更を伴う本店移転の具体例は下記のとおりです。
当会社は本店を千葉県千葉市に置く → 当会社は本店を東京都港区に置く
上記のような場合、本店所在地の変更となります。しかし、定款に本店所在地(最小行政区画)のみを定めた場合、例えば「東京都千代田区に置く。」とした場合に千代田区内で移転する場合は、上述のとおり定款の変更はありませんので、株主総会特別決議は必要はありません。この場合は、取締役会設置会社であれば、取締役会で(取締役会非設置会社であれば取締役の決定で)本店移転の決定を行うことができます。
取締役会設置会社が管轄外本店移転をする場合
取締役会設置会社が管轄外本店移転登記をする場合は、以下の手続きが必要となります。
例)「当会社は本店を東京都千代田区に置く」と定めあり
①「東京都千代田区」から「東京都渋谷区」へ移転する場合
→「当会社は本店を東京都渋谷区に置く」とする定款変更を株主総会特別決議で行う
→その後取締役会において具体的な本店所在場所を決定する。
②東京都千代田区内で移転する場合
→ 取締役会の決議で本店所在場所を決定する。
このように、本店移転の際は、定款に定めた本店の所在地(最小行政区画)の変更を伴う移転であるのか、最小行政区画内の移転であるのかなど、加えて、会社が取締役会設置会社であるのか、取締役会非設置会社であるのかによっても本店所在場所の決議機関は異なります。
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本日は本店移転について解説しました。
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