株主名簿の機能・書換請求・備置き・謄写閲覧請求などについて解説
株主名簿の機能・書換請求・備置き・謄写閲覧請求などについて解説
株主名簿とは
株主名簿とは、会社法の規定により作成した株主及び株券に関する事項を明らかにした帳簿です。会社法では、会社の事務処理の便宜を図ることで株主の利益となるということを目的とし、絶えず変動する多数の株主と会社との関係を明確にするために株主名簿の作成を義務付けています。
株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項を記載し、または記録しなければならない。
①株主の氏名又は名称及び住所
②前号の株主の有する株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)
③第1号の株主が株式を取得した日
④株式会社が株券発行会社である場合には、第2号の株式(株券が発行されているものに限る)に係る株券の番号
株主名簿の機能
株主名簿の機能は以下の通りです。
②氏名名称住所を明らかにしておくことで会社が発する通知から権利行使の機会を逃さずに済む
③会社にとっての事務処理の便宜
④氏名住所の把握により株主総会定足数確保のため委任状の提出を勧誘することができる
株主名簿の確定的効力
株式譲渡があった場合、株式を取得したものの氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し又は記録しなければ株式会社その他第三者に対抗することができない(会社法130条)とされています。
会社は、名義書換え請求が行われない限りは、株主名簿に記載された株主を株主として取り扱えばよいということになります。
株主名簿管理人
会社は、株主名簿管理人を設置することができます。
株式会社は、株主名簿管理人(株式会社に代って株主名簿の作成及び備置きそのた株主名簿に関する事務を行う者をいう)を置く旨を定款で定め、当該事務を行うことを委託することができる。
株主名簿管理人設置に関する手続きは以下の通りです。
②取締役会(取締役会非設置会社においては取締役の過半数の決定)で株主名簿管理人を選任する
③株主名簿管理人と委託契約を締結
④登記申請
株主名簿の備置き・謄写閲覧請求
株式会社は、株主名簿をその本店(株主名簿管理人がある場合にあっては、その営業所)に備置かなければなりません(会社法125条1項)。株主及び債権者は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができます(同条2項)。
②株主名簿が電磁的記録をもって作成されているときは、その事項の閲覧又は謄写の請求
以下の場合、会社は当該請求を拒むことができます。
②請求者が業務の遂行を妨げ、又は株主の共同の利益を害する目的で請求を行った場合
③請求者が知り得た事実を利益を得て第三者に通報するために請求した場合
④請求者が過去2年以内に③に該当する行為を行った場合
株式会社の親会社の社員は、権利行使をするため必要がある場合に限り裁判所の許可を得ることで閲覧又は謄写の請求をすることができます(同条4項)。
手続きのご依頼・ご相談
本日は株主名簿について解説しました。
このように、株式会社は会社法の規定にしたがって株主名簿の作成をすることが義務付けられています。
株主名簿は、会社にとっては事務処理の便宜を図るものですが、それによって株主の利益となるものでもあります。会社は、株主名簿管理人を設置することができますが、その際は、定款変更し登記をする必要があります。
会社法人登記に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。