個人事業主が支配人を選任した場合の登記手続きについて解説
個人事業主が支配人を選任した場合の登記手続きについて解説
個人商人に関する登記
支配人は、商人に代わってその営業に関する一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する商業使用人をさします(商法21条1項)。
自らに代わり営業所における営業に関して一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限を有する商業使用人である支配人を選任した場合は登記をする必要があります(商法22条)。
これを公示するための帳簿が「支配人登記簿」であり、支配人区と登記記録区から編成されます(商業登記規則別表4参照)。
記録内容としては、支配人区として、支配人、商人、支配人を置いた営業所、支配人が代理すべき営業、支配人が使用すべき商号が記録されます。
株式会社の場合の支配人は、本店所在地を管轄する会社登記簿の会社支配人区に登記されるのに対して、個人商人の支配人は、登記所ごと、支配人ごとの「支配人登記簿」に登記がされます(商業登記規則56条)。
登記簿の種類
なお、商業登記簿は、次の9種類がございます(商業登記法6条)。
1.商号登記簿
2.未成年者登記簿
3.後見人登記簿
4.支配人登記簿
5.株式会社登記簿
6.合名会社登記簿
7.合資会社登記簿
8.合同会社登記簿
9.外国会社登記簿
登記申請手続
会社を除く商人の支配人登記において登記すべき事項は次の通りとなります。
②商人(営業主)の氏名及び住所
③商人(営業主)が複数の商号を使用し複数の営業をしているときは、支配人が代理すべき営業及びその使用すべき商号
④支配人を置いた営業所(1営業所に2名以上の支配人を置く場合、各支配人ごとに支配人の登記をする)
登記申請書記載例
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1.登記の事由 支配人選任
1.登記すべき事項
支配人の氏名及び住所
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営業主の氏名及び住所
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支配人を置いた営業所
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1.登録免許税:金3万円
1.添付書類:委任状
添付書類・管轄・登録免許税
登記添付書類は、委任状だけとなっていますが、商人(営業主)は印鑑届出をする必要があるため、印鑑届出書と印鑑証明書が必要になります。
なお、添付書面がいらない都合上、登記委任状には、登記すべき事項をすべて記載する必要があります。
申請する管轄は営業所の管轄法務局となります。
登録免許税は、金3万円(ロ)になります。
個人商人の支配人の登記記録例
支配人の氏名及び住所 | 東京都千代田区永田町一丁目1番1号 加陽 麻里布 |
商人の氏名及び住所 | 東京都千代田区永田町二丁目2番2号 永田町 太郎 |
支配人を置いた営業所 | 東京都千代田区永田町三丁目3番3号 |
登記記録に関する事項 | 新設 令和5年5月5日登記 |
その他
個人商人が支配人を置いた場合登記をする義務がありますが、個人商人の支配人の登記事項に変更が生じた場合、当該変更の登記の登記期間に定めはなく商人は遅滞なく当該変更の登記を申請すれば足りるとされています。
会社の場合と異なり、営業所の所在地において2週間以内に登記をしなければならないという規定は存在しません。
また、「支配人の登記をする前提として、商人は「商号の登記」を経由していることを要しません。
手続きのご依頼・ご相談
本日は個人事業主が支配人を選任した場合の登記手続きについて解説しました。
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