登記申請手続(各種)

株式の無償割当てをする場合の注意点などを解説

株式の無償割当て


株式無償割当てとは

株式の無償割当てとは、新たに払込をさせないで株主に持分株の比率に応じた株式を割り当てる行為である(会社法185条)。
高騰しすぎた株価を引き下げたいときや、実質的な株価上昇の利益を株主にもたらせたいときなどは、株式分割の利用によって行うことができる。
しかし、株式分割の場合、同じ特定の株式のみを一定の割合で増加させることしかできない。したがって、それ以外の形で払い込みなしに新たな株式を増加させる制度として株式無償割当てが設置されたのである。

株式無償割当の決議

 株式無償割当てでは、金銭の払込によらないで株式を発行する。したがって、資金調達の手段とはならず、株式無償割当てによって資本金を増加させることはできない。株式無償割当ては、無償で与えられるので株主にとって有利な決議と考えられる。ゆえに、取締役会設置会社では、取締役会の決議のみで決定することができる。
また、取締役会非設置会社では、株主総会の普通決議によって決定しなければならない。

自己株式の対応

会社が自己株式を有している場合、株式無償割当てにおいては、自己株式への無償割当ては行われない。
例えば、A株式会社の発行済み株式総数が400株であり、自己株式が10株あったとする。株式分割によって1株に対して1株を取得させる場合、効力発生後の発行済株式総数は800株となる。これに対し、株式無償割当てによって1株に対して1株を割り当てた場合、自己株式である10株を引いた390株に対して割り当てることになるので、効力発生後の発行済株式総数は、790株となる(390×2+10)。また、株式会社が保有する株式を無償割当てとして交付することができるので、その場合、新たに発行する株式は380株となり、効力発生後の発行済株式総数は770株となる。

株式無償割当てを行う上での注意点

株式無償割当てを行う上での注意点としては、効力発生後の発行済株式総数が発行可能株式総数を上回ってしまう場合は登記できなくなってしまうので、発行可能株式総数の数も考慮して設定しなければならない。
また、新株予約権発行会社においては新株予約権の数も控除した発行可能株式総数を上回ることはできない。
発行済株式総数を変更するには定款の変更を要するので、取締役会の決議のみで変更はできない。したがって、発行可能株式総数の変更を同時に登記申請する場合は、株主総会によって発行可能株式総数の変更を決議し、株主総会議事録と株主リストを添付しなければならない。発行可能株式総数の定款変更を行う場合、公開会社においては、定款変更後の発行可能株式総数は、発行済株式の4倍を超えることができないという点にも注意を要する。

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本日は株式の無償割当てについて解説しました。
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