組織再編と許認可の注意点を解説!事前の承認と認可が必要なケースと新たな登録や許可の取得が必要なケース
組織再編と許認可の注意点
組織再編で許認可は承継できるのか
合併や会社分割では、承継会社に権利義務が包括的に移転、承継されます。
事業譲渡においても、契約した事業に関する権利義務が承継されます。
ただし、事業を行うにあたって、国の許認可が必要になる場合、当然に承継されないケースがあるので注意が必要です。
承継の形態や必要な手続きについては、各種許認可で異なります。
以下で代表的なケースをご紹介します。
当然承継するケース
当然承継とは、合併などの組織再編を行った場合に新たに事業を行う会社が、改めて許認可を得なくても、従前の許認可を利用し、そのまま許認可が必要な事業を行えるケースです。
たとえば、以下の事業があります。
飲食店営業の許可は当然承継されますが、承継したら遅滞なく、その事実を証する書面を添えて都道府県知事に届け出なければなりません。
美容師による美容所の届け出は当然承継されます。
特定貨物自動車運送事業の許可、貨物軽自動車運送事業の許可、第一種貨物利用運送事業の登録も当然承継ができます。
事前の承認・認可が必要になるケース
当然には承継できず、組織再編にあたって事前の許認可や承認が必要になる事業があります。
以下のような事業です。
風俗営業の許可は、監督官庁による事前の承認がないと承継できません。
旅館業の許可や建設業の許可は、事前の認可を受けないと承継できません。
一般貨物自動車運送事業の許可、第二種貨物利用運送事業の許可、一般旅客自動車運送事業の許可も、承継するには事前の認可が必要です。
たとえば、承継会社が承継する飲食事業と旅館業を営みたい場合、飲食店は当然承継できますが、旅館業については事前の認可が必要となります。
手続きの流れが異なるため、計画的な準備が必要です。
新たな登録や許可の取得が必要なケース
以下の事業については、承継が認められず、新たな会社が改めて要件を満たしたうえで新規で登録や許可が必要です。
たとえば、旅行業の登録は新たな登録の取得が必要です。
宅地建物取引業の免許も、新たに免許を取得し直さなくてはなりません。
労働者派遣事業の許可、有料職業紹介事業の許可も新たな許可の取得が必要です。
組織再編にあたり特に注意したい事項
運送関係の法人の合併や会社分割については、国土交通大臣の認可がないと認められない場合があるので注意しましょう。
一般貨物自動車運送事業、第二種貨物利用運送事業、一般旅客自動車運送事業を営む法人が合併や会社分割をするには、国土交通大臣の認可を受けなければ組織再編の効力が認められません。
手続きのご依頼・ご相談
本日は組織再編と許認可の注意点について解説しました。
事前の許可が必要なものに対して許可を得ずに手続きを進めてしまうと組織再編そのものが無効となる可能性もあります。
必ず事前の確認をするようにしましょう
手続きのご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。