日刊工業新聞を利用した格別の催告省略は高コスト?最安値で行うには…最短で債権者保護手続きを行う場合に利用することも
日刊工業新聞を利用した格別の催告省略(いわゆるダブル公告)は高コスト?最安値で行うには…最短で債権者保護手続きを行う場合に利用することも
債権者保護手続き
債権者保護手続きにおいては、官報公告+定款で定めた官報以外の公告方法で公告(いわゆるダブル公告)をすることで債権者への個別催告書の送付を省略することが出来ます。
合併などの組織再編手続きにおいて債権者保護手続きを行う必要がある場合、債権者が複数いる場合は、公告方法を日刊工業新聞へ変更し、官報と日刊工業新聞に掲載することで、個別催告書の送付を省略する手法があるのですが、これは果たして債権者保護手続きにおいて有効な手段なのでしょうか。
いわゆるダブル公告は高コスト
なぜ「日刊工業新聞」なのか、これは新聞掲載の中で、比較的掲載料が安いとされているため、「日刊工業新聞」が話題にあがるのですが、果たしてコストはいくらなのでしょうか。
合併公告のコスト
合併公告のコストは、段×長さによって異なりますが、大体¥102,942となります。
決算公告のコスト
決算公告のコストは、段×長さによって異なりますが、一社¥99,330となります。
公告コストを抑えるためには
上述した通り、公告方法を日刊工業新聞に変更後に、官報と新聞に合併公告と決算公告を行う場合は、日刊工業新聞に掲載するコストは、一社あたり20万円程かかることになります。官報公告掲載費用(決算公告をあわせると30万円程)と合計すると債権者保護手続費用だけで50万円程かかることになります。よほど債権者が大勢いるなどの事情がない限りは、コストパフォーマンスが良いといえないのではないかと考えます。
そこで、時間に余裕がある場合は、公告方法変更前に、官報へ「決算公告」を行い、公告方法変更後に官報と新聞に「合併公告」することで費用を抑えることが可能です。
この場合、官報に「決算公告」を行ったのち臨時株主総会で公告方法を日刊工業新聞に変更する決議をし、公告方法の変更登記後、官報と新聞に「合併公告」を行うことになりますので十分な時間が必要となります。
1日でも早く手続きを完了させたい場合に有効
組織再編手続きにおいて、どうしても時間を要するのが債権者保護手続になります。
官報公告掲載手続きを行うにあたり、入稿から掲載開始まで印刷局へ回る日程も考慮すると通常2週間の期間を要します。
「合併公告」だけであれば7日で掲載可能ですが、多くの会社は決算公告を行っていませんので同時に決算公告も行います。この場合、入稿し掲載開始されるまでどうしても2週間の期間を必要とし、更にそこから1か月の債権者保護手続期間を設ける必要があることから、当初の計画とずれが生じるようなケースも多々存在します。
日刊工業新聞の場合は、決算公告掲載であっても入稿から7日間で掲載可能となるため、どうしても効力発生日をずらすことが出来ないなどの事情により、1日でも早く手続きを完了させたい場合は、公告方法を日刊工業新聞に変更し、日刊工業新聞に「決算公告」、官報と日刊工業新聞に「合併公告」を行うことで最短で手続きを行うことも考えられます。
お手続きのご依頼・ご相談
本日は日刊工業新聞を利用した格別の催告省略(いわゆるダブル公告)について解説しました。
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