相続土地国庫帰属制度とは?手順や費用などを解説
相続土地国庫帰属制度とは
相続土地国庫帰属制度
相続により、土地を取得した場合、有効活用ができる方や有効活用しやすい立地にある土地であった場合や土地が欲しかった方なら、メリットを感じるかもしれません。ですが、近年は少子高齢化の影響や土地活用がしにくい土地の相続をした方を中心に土地を相続しても困るという方が増えています。
特に過疎地や高齢化が進む地域を中心に空き地が管理されないまま、放置されるケースや都心部では固定資産税などの支払いが難しく困っている方も増えています。こうした時代のニーズを捉え、管理が行き届かない土地や所有者不明の土地の増加を抑え、土地を有効活用できるよう相続土地国庫帰属制度が創設されました。
土地を相続した方や遺贈を受けた方が申請を行い、一定条件を満たして承認を受ければ、国庫に帰属させて土地を手放せるという制度です。
審査が必要
国に任せることができるとなれば、安易に手放そうとする人が増える可能性があります。
固定資産税を払わなくて済む、維持管理費を払わなくて済むと、国に押し付ける人が増えないように予防措置を採ることが必要です。
そこで、国庫帰属ができる一定の要件を定めるとともに、申請を行い、法務大臣が要件審査をすることになっています。
その基本となる要件は、通常の管理や処分をするにあたって、過分の費用や労力が必要となる土地ではないことです。
無償で手放せるわけではない
さらに、無償で手放せるわけでもありません。
要件審査をクリアして、法務大臣の承認を受けた場合、土地の性質に応じて算定される10年分の土地管理費相当額の負担金を納付することが必要です。
現時点で国有地の標準的な管理費用は、きめ細やかな管理が必要ない原野などであれば、10年分で約20万円、周辺に迷惑がかからないよう、しっかりした管理が必要な市街地の宅地の場合、200㎡で10年分、80万円ほどです。
相続土地国庫帰属制度を利用したい場合の手続きの流れ
土地の活用法が見つからないなど、相続した土地の所有を望まない方は、法務局で申請手数料を納付して、承認申請を行います。
法務大臣(法務局)の要件審査が行われますが、この際、書面審査だけでなく、実地調査が行われることもあります。
実地調査を行う法務局の職員は、国や地方公共団体に対して 承認申請があった旨を情報提供するとともに、自治体が土地の寄付を受ける道や地域での有効活用の機会ができないかの検討も行われます。
現地調査や要件審査の結果、承認されると、申請者は指定された負担金を納付しなくてはなりません。
これによって、国庫帰属が行われます。
まとめ
所在不明土地問題解決に寄与すべく相続登記義務化と共に創設された国庫帰属制度について解説いたしました。
相続に関するお問い合わせは永田町司法書士事務所までお問い合わせください。