一般社団法人の社員の議決権【定款に別段の定めをする必要性】社員の意見対立によって決議がまとまらなかった場合の対処法
一般社団法人の社員の議決権【定款に別段の定めをする必要性】社員の意見対立によって決議がまとまらなかった場合の対処法
一般社団法人の社員とは
一般社団法人は、前提として2名以上の社員が必要となります。
社員=株式会社でいうところの株主に該当します。
そして、原則として社員は1人1個の議決権を有します。
最高意思決定機関は社員総会
一般社団法人の最高意思決定機関は社員総会となります。
株式会社でいうところの株主総会に該当します。
理事の選任などは社員総会の普通決議においておこないます(法人法63条1項、49 条1項)。
1 前項の決議をする場合には、法務省令で定めるところにより、役員が欠けた場合又はこの法律若しくは定款で定めた役員の員数を欠くこととなるときに備えて補欠の役員を選任することができる。
なお、理事の選任は原則として社員総会以外の方法によることは出来ないと考えて良いでしょう。
社員2名で意見対立した場合決議がまとまらなくなる
例えば、一般社団法人の社員が2名(AとB)だった場合に、決議を行う際にAとBの意見が対立した場合、決議がまとまらなくなるという事態が発生します。
そこで、これを避けるため、定款で別段の定めをすることが出来るとされています(法人法48条ただし書)。
定款で別段の定めを行っておく必要がある
社員が2名で意見対立した場合に決議がまとまらなくなることを避けるために、定款でAにだけ議決権を2個、Bは原則通り議決権1個とする定めをすることが出来ます。これによって決議がまとまらない事態を避けることが出来ます。
2 前項ただし書の規定にかかわらず、社員総会において決議をする事項の全部につき社員が議決権を行使することができない旨の定款の定めは、その効力を有しない。
社員Aに2個、社員Bに1個の議決権とすることは出来ますが、社員Bに議決権を全く与えない定款の定めは無効となります(法人法28条2項)。
定款に別段の定めをしていなかった場合
定款に別段の定めをしなかった場合、社員AとBは、原則通りA1個の議決権、B1個の議決権となります。
ここでAとBが対立した場合は残念ながら、今後法人を継続して運営することは出来ないといっていいでしょう。
普通決議を成立させるためには、議決権の「過半数」が必要です。2個の議決権で1個の賛成は半数であり過半数ではありません。
決議がとれないのは当たり前のことながら、連絡の取れない理事を解任することも出来ません。
これは、株式会社において株式を50%ずつ保有するリスクと同じことです。
このような事態を避けるために事前に定款で必ず、最終的な意思決定者を決めておくことが必要です。
さいごに
社員が理事を兼任することなどもありますので、理事の決定権など含めて、社員がある程度コントロールできるような設計にしておくことは法人を運営していくにあたりとても大事なこととなります。
実情にあわせた定款を作成しなければ、人間関係のもつれによって将来的に法人が意思決定ができなくなる恐れも存在します。
一般社団法人とはその名のとおり社員の団体(人の集まり)です。株式会社と異なり1人で運営をすることは出来ず最低2名の人が必要です。
当事務所では、この点なども踏まえて実情をヒアリングした上で最適な定款案などご提案させていただきます。
一般社団法人の設立をご検討中の方は、永田町司法書士事務所までご相談ください。