【相続】預金の開示_相続人のひとりから被相続人の預金通帳の開示請求はできるのか
相続人のひとりから被相続人の預金通帳の開示請求はできるのか
相続財産の把握
父と姉妹2人の家族で、父の配偶者である母は既に他界しているという家族で、父が亡くなったという事例をもとに考えてみます。
また、法定相続人は姉妹2人のみとします。
被相続人の死亡と同時に相続が開始しますが、被相続人の財産については被相続人本人が自由に処分することができますので、有効な遺言書がある場合は遺言書の内容に沿って相続をすることになります。一方、遺言書がない場合、2人の姉妹が法定相続分によって相続することになると考えられます。
上記いずれの場合にも、被相続人である父の預金通帳がどこにあるか分からなかったり、姉が通帳を持っていてその中身を開示しない場合などの事態が起こり得ます。通帳の中身がわからない以上、どのくらいの相続財産があるのか把握することができません。もしかすると姉だけが生前に多額の贈与などを受けており、妹の遺留分が侵害されている可能性もあります。
父の財産である預金について、通帳を持っている姉だけが預金の内容を知ることができ、妹が知ることができないというのは、姉妹とも相続人なのにおかしな話です。
これでは、相続手続がスムーズに進まないので、父の残した通帳の中身(取引履歴)を確認する必要があります。
相続人の一部からの開示請求は認められる
この点について、かつて金融機関は相続人全員の同意がなければ預金者(被相続人)の口座の開示請求には応じないという立場を採ってきましたが、平成21年1月22日に最高裁で「預金者が死亡した場合,その共同相続人の一人は,預金債権の一部を相続により取得するにとどまるが,これとは別に,共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる(民法264条,252条ただし書)というべきであり,他の共同相続人全員の同意がないことは上記権利行使を妨げる理由となるものではない。」とする判決がでて、相続人であるならば、共同相続人(今回のケースでは姉と妹の2名)の内、1人でも開示請求が可能となっています。
開示請求において用意するもの
開示請求をする際には、自分が被相続人の相続人であることを証明するため、戸籍謄本等を用意しておく必要があります。
開示請求することによって、姉に対する生前贈与などがなかったかどうかなどもわかる可能性がありますので、諦めずに開示請求しましょう。
もし、姉に対して生前贈与があった場合はその贈与が特別受益に該当する可能性があり、相続分に変動が生じる可能性もあります。
さいごに
本日は預金の開示請求について解説しました。
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