仮想通貨取引を法人を設立して行うメリットはあるか
仮想通貨取引を法人を設立して行うメリットはあるか
仮想通貨の利益は総合課税
国税庁は、仮想通貨取引で得た利益は総合課税であると公表しています。
つまり、住民税含め最大55%の課税になるケースが出てきますが、これが法人になると実効税率で24%~34%程度に抑えることが可能となります。
ざっくり計算しても20%という税率差がありますので、法人化には大いにメリットがあると言えるでしょう。
FX取引であれば法人の実効税率より個人の税率の方が低いため法人化には旨みが少ないとされてきましたが、仮想通貨取引の場合は確かに旨みがあります。
ただし、そこにはメリットデメリットがありますので、あらかじめ把握しておくことが重要です。
法人設立して仮想通貨取引するメリット
法人を設立するメリットは以下の5つです。
・欠損金の繰越や繰戻し還付が受けられる
・損失をほかの所得と相殺可能
・給与所得控除を利用可能
・経費に算入
最初の所得税の話は冒頭で述べた通りです。
欠損金は所得税法上、雑所得に計上した仮想通貨の損失は翌年以降に繰越することはできませんが、法人なら限度額はあれど10年間繰り越すことができます。
所得税では他の所得と損益通算できませんが、法人税なら事業すべての益金から損金を引いて所得金額を計算できます。
所得を減らせればそれだけ節税が可能です。
給与はそれ自体に税率をかけるのではなく、給与所得控除額を引いた後に税率をかけます。
法人が仮想通貨で稼いだ分を役員報酬で個人に支払えば、給与所得控除が使えるのです。
退職金はほかの所得に比べて税負担が軽減されていますので、退職金の支払いに使えば税負担をかなり軽減することができます。
法人を設立して、家族を役員や使用人として雇用すれば、給与を支払うことで所得を分散することができます。
経費に算入できるものが多いですし、あまりあるメリットと言えるでしょう。
法人設立して仮想通貨取引するデメリット
デメリットは法人の設立と維持に手間とコストがかかる点です。
法人のお金はあくまで法人のものなので勝手には使えませんし、赤字でも税務申告はしなければならなくなります。
含み益も課税されますし、そう簡単なものではないでしょう。
株式会社設立には約20万円、維持費用には社会保険料、法人住民税などがかかり、会計士税理士へ依頼すれば顧問料も発生します。
ただ、これらの事項は、すでに法人を経営している経営者の方ならなんの障害にもなりません。
もし余剰資金の運用先に仮想通貨投資をするのであれば、間違いなく法人口座を開設したほうが得になります。
留意点としては、定款の変更手続きなどは必要であることです。
個人投資家が安易に法人化することには懸念材料がありますが、それでも仮想通貨取引で莫大な利益を上げているなら、節税の利点を活用できる可能性があることは事実です。
さいごに
いかがでしょうか。
本日は仮想通貨取引を法人を設立して行うことについてメリットとデメリットと解説いたしました。
仮想通貨取引を法人として行う場合、事業目的に関する記載方法等一定の注意を要する場合もございます。
法人設立に関するご相談は永田町司法書士事務所へお問い合わせください。