収益物件の次世代への承継(家族信託活用事例①)
家族信託の活用方法(収益物件の次世代への承継)
収益物件の次世代への承継
Aには先祖から受け継いだ土地があり、この度その土地にマンションを建て、不動産収益物件として運用することになった。
所有する土地を担保として、マンション建築費用を銀行からの融資で賄う見積りで、銀行の承認もすでに得ている。
ただし、借入金額が1億円近くになり、また返済期間も15年と長期に渡るため、自身の年齢からも少し不安を感じている。
自身にもしものことがあれば、土地建物とも相続の対象となり、相続分はそれぞれ配偶者であるBに2分の1、長男Cに4分の1、長女Dに4分の1と分割されてしまう。
幸い土地は所有物でかつ新築物件であることから、収支がマイナスになる見込みはほぼなく、たとえ相続となったとしても、収益を上げ続けてくれる物件であることは間違いない。
しかし、もし遺産分割協議でもめるようなことがあれば、せっかくの収益物件も分割の対象となってしまい、売却の対象となってしまう可能性もある。
妻や子供に収益物件を残してあげたいという思いからの計画なのだが、自身の年齢を考えると、借入金額、返済期間ともに不安は尽きない。
家族信託(個人信託)を活用してみる
まず、収益物件であるマンションと土地を信託財産とし、長男Cと信託契約を締結する。
このとき、Aを委託者兼受益者とし、Cを受託者とする。
信託財産の管理・保有については、受託者がすることになるから、マンションの管理、売上金額の管理、借入金額の返済等は、すべてCが行う。
Aは、委託者として、土地建物の所有者としての権利を失うことはない。
借入金額の大きさや返済期間の長さなど、自身の年齢からくる不安要素も、長男であるCが受託者として管理運営することから安心できる。
また、Aは受益者として、信託財産から給付を受ける権利を得る。
これにより、マンションからの収益についても、毎月一定額の給付を受けることが可能になる。
さらに、この受益権について、自身にもしものことがあった場合、相続の対象として、配偶者であるBや長女であるDに遺贈することで、相続財産を分割することなく、それぞれに収益を分配することが可能となる。
配偶者や長女も受益者として毎月一定額の給付を受けることが可能なのだ。
なので、自身の死亡後、もしかすると遺産分割で土地建物を分割しなければならないという不安も解消した。
さいごに
民事信託(家族信託)のご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。