契約書等作成、チェック

印紙が必要となる文書は?貼り忘れた場合の罰則や電子文書の取扱いについて解説!契約書の基礎知識

契約書における収入印紙の基礎知識


契約書に印紙は必ず必要か

契約書を作成したからといって必ず印紙を貼らなければならないわけではございません。
印紙を貼らなくてはいけないのは「課税文書に該当する場合」のみです。
どのような契約書が「課税文書」になり得るのか、ご紹介いたします。

課税文書とは

課税文書とは下記の①~③すべてを満たす文書を課税文書といいます。

①印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証される事項(課税事項)が記載されている
②当事者間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
③印紙税法5条(非課税文書)の規定により、印紙税を課さないこととされている文書以外のもの


特に問題となるのが、上記①です。課税文書に該当するとして、課税物件ごとに税額も異なります。

問題となる3類型

課税物件表には20種類の項目に分け、それぞれ印紙税額が示されています。
(詳細: 第1号文書から第4号文書までの印紙税額の一覧表

ここでは、実務上問題となる3類型について取り上げます。

①第1号文書

次の4項目に分かれます。
・不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
・地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
・消費貸借に関する契約書
・運送に関する契約書

②第2号文書

請負に関する契約書になります。
実務上、よく問題となるのが「請負」と「委任」の区別です。
もし「委任」に該当するのであれば、第2号文書には該当しないこととなり、印紙は不要になりますが、実施、請負と委任の区別をするのは困難である場合は少なくありません。

請負とは当事者の一方がある仕事の完成を約束し、相手方がその仕事の結果に対し、報酬を支払うことを約する契約です。
請負と委任の最大の違いは、請負は仕事の完成が必要であるのに対し委任は、仕事の完成までは必要ではありません。
請負の代表例は、建築工事等が挙げられます。
委任の代表例は、弁護士契約が挙げられます。

工事は完成が必ず求められますが、弁護士は勝訴が必ず求められるものではありません。
たとえ、敗訴したとしても弁護士費用は支払わなければなりません。

仕事の完成が絶対条件か否か、これが請負と委任の最大の違いになります。
上記は、分かりやすいたとえでしたが、実際上はどちらであるのか判断に悩むような契約も出てきます。判断に迷った場合は、弁護士等の専門家に相談するようにしましょう。

③第7号文書

継続的取引の基本となる契約書です(ただし、契約期間3カ月以内かつ更新の定めのないものを除く)。
売買取引基本契約書や業務委託契約書がこれに該当いたします。

印紙を貼らなかったらどうなる?罰則は?

収入印紙の貼付が必要であるにも関わらず印紙を貼付しなかった場合は、どうなるのか
この場合は、本来貼付すべき印紙とその2倍に相当する額の合計額が懈怠税として徴収されます。

例えば、契約金額の定めのない業務委託契約書の場合、貼付しなければならない4千円の印紙を貼付しなかった場合は、その本来貼付するべき4千円と、その2倍にあたる8千円(合計1万2千円)が懈怠税として徴収されることとなります。

また、誤って、200円の印紙しか貼らなかった場合は、差額の3800円とその2倍にあたる7600円(合計11400円)が懈怠税として徴収されることとなります。

貼付した印紙に消印しなかった場合も懈怠税?

収入印紙を貼付したものの消印をしなかった場合にも懈怠税が徴収されます。
上記とは異なり、消印されなかった収入印紙の額面と同額の懈怠税が徴収されることとなりますので消印には注意をしましょう。

申込書や発注書にも印紙の貼付は必要?

申込書や発注書は、注文内容を記載したにすぎず「契約書」には該当しません。そのため収入印紙の貼付は必要ございません。
しかし契約をする目的(例えば相手方の申込に対する承諾)の場合は必要となる場合がございます)。具体的には以下に該当する場合は、契約書に該当し印紙の貼付が必要となります。

①当事者間の基本契約書に基づく申込であることが記載されておりかつ一方の申込によって契約が成立することとなっている場合(ただし、相手方が別途請負契約等の成立を証する文書を作成することが記載されている場合は除く)
②見積書その他の契約相手が作成した提案書等に基づく申込みであることが記載されている場合(ただし、相手方が別途請負契約等の成立を証する文書を作成することが記載されている場合は除く)
③当事者双方の署名又は押印がある場合


「覚書」「合意書」などの文書にも印紙は必要か?

たとえ「契約書」と記載がなくてもその中身が当事者双方が義務を負う「契約書」に該当するのであれば課税文書となり印紙の貼付が必要となります。
実質的判断となりますので記載内容を確認ください。

変更契約書にも印紙は必要か?

課税文書に該当しかつ「重要な事項」を変更する場合は印紙の貼付が必要となります。
「重要な事項」は、こちらをご確認ください。
(国税庁ホームページ:印紙税法基本通達別表第2

契約書の写しにも印紙は必要か?

契約書の写しには、印紙の貼付は不要です。
印紙代節約のために、多くの場合は、契約書正本は1通作成し、関係者はそのコピーを保有するなどの対応が見受けられます。
なおコピーであっても下記に該当する場合は印紙を貼付する必要がございますのでご注意ください。

①当事者双方又は一方の署名押印があるもの(ただし、文書所持者のみが署名押印しているものは除く)
②正本と相違ないこと(原本証明)、又は写し・副本・謄本である当事者の証明(正本と割印があるものを含む)があるもの


電子契約は課税文書にあたらないため印紙不要

電子契約の場合は、印紙は一律不要となります。
最近では、クラウドサインが大流行しています。印紙代がかからないため大変便利です。
また、法人設立の際の定款作成についても、紙で定款を作成した場合は4万円の印紙を貼る必要があるのに対し、電子で作成した場合は印紙が不要となり大変お得です。

海外取引先との契約書にも印紙は必要?

印紙税法は日本の法律となりますので、日本国内に限られます。
日本で契約書を作成した場合に限り印紙の調印が必要となります。
例えば、調印場所が海外の場合は、印紙は不要です。どこで調印したかによって異なります。

さいごに

いかがでしたでしょうか。本日は契約書の印紙にかかる基礎知識をご紹介させていただきました。
契約書の作成・リーガルチェック等は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。

会社法人登記(商業登記)の

ご相談・ご依頼はこちら
お問い合わせ LINE

ご相談・お問い合わせはこちらから