基礎知識 / 民法基礎知識 / 相続、遺産承継業務

表見相続人 -法務担当者向け基礎知識-

表見相続人とは

表見相続人とは、「表」面だけ「見」ると、相続人ではあるけれど、実際には相続人ではない、もしくは真正な相続人ではあるけれど、他の相続人の持分を侵害している人などのことをいいます。

表見相続人の例

表見相続人とされる例をあげると、廃除(民法892・893条)された推定相続人、欠格事由(民法891条)に該当する相続人、相続放棄(民法938条)をした相続人などです。

また、偽りの出生届によって戸籍上被相続人の子供となっている場合、または偽りの認知届によって戸籍上被相続人の子供となっている場合、または、無効な養子縁組によって養子となっている場合などがあげられます。

相続回復請求権

表見相続人から権利を取り戻すには、相続回復請求権を行使する必要があります。
表見相続人が存在した場合、自己の相続の権利が侵害されていることを、真の相続人が知った時から5年間経過すると、表見相続人が消滅時効の援用をすることによって相続回復請求権を行使することができなくなるため真の相続人が表見相続人の存在を知ったときは速やかに手続をするべきです。また、相続回復請求権は、相続の開始があった時から20年以内に行使しなければ、表見相続人の消滅時効の援用によって消滅してしまうので注意が必要です。

相続欠格

また、表見相続人に対して、真の相続人のことを「真正相続人」と呼びます。真正相続人は、表見相続人に対して相続回復請求権を行使することになります。表見相続人が存在するケースで1番多いのが上記にもある相続欠格です。
相続の欠格事由に該当する、つまり、相続財産を得ることを目的として、不正な行為を行うことにより、相続人として不適格であると判断されることをいいます。例えば、被相続人や相続について先順位若しくは同順位の相続人を故意に死亡させたり、又は死亡させようとして刑に処せられた者、詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、変更することを妨げた者や、詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、変更させた者、相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿(隠した)した者などが該当します。

その他

また、相続が開始した場合に相続人となる者を推定相続人といいますが、この推定相続人が被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができ、家庭裁判所が上記の廃除の原因に該当すると判断した者は被相続人の相続人となることができません。これを相続人の廃除といいます。また、被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は家庭裁判所にその推定相続人の廃除を請求しなければならないとされており、この場合においてはその推定相続人の廃除は被相続人の相続の開始の時にさかのぼってその効力を生じるので、この者も被相続人の相続人となることができません。

永田町司法書士事務所

会社法人登記(商業登記)の

ご相談・ご依頼はこちら
お問い合わせ LINE

ご相談・お問い合わせはこちらから