社会保険労務士法人の役員(社員)変更登記手続きを解説
社会保険労務士法人の役員(社員)変更登記
社会保険労務士法人の設立や運営は、株式会社とは異なる専門職法人特有のルールに基づいています。
とりわけ、平成28年以降は「一人社会保険労務士法人」が可能となり、開業形態の選択肢が広がりました。
その結果、近年増えているのが、
① 既存社員の脱退
② 新たな社会保険労務士の加入
③ 「一人」から「複数」への移行
といった社員構成の変更登記です。
本稿では、「一人社会保険労務士法人」における社員変更登記の実務を、専門家の視点から整理します。

一人社会保険労務士法人とは何か
社会保険労務士法の改正により、平成28年から、社会保険労務士1名でも法人設立が可能となりました。
この法人形態では、社員(=法人の構成員)が1名のみであり、登記事項では次のように表示されます。
登記簿の表示例
| 区分 | 登記事項 |
|---|---|
| 役員に関する事項 | 社員 東京都〇〇区… 〇〇花子 |
複数社員の法人では「代表社員」が別途登記されますが、一人法人では社員=代表社員であるため、登記は比較的シンプルです。
社員が交代する場合の登記はどうなるか
既存社員が脱退し、新社員が加入する場合
例えば、社員Aが脱退し、社員Bが加入するという場合、登記簿には次の事項が記録されます。
・脱退社員の氏名および脱退日
・新社員の住所・氏名および加入日
ここで重要なのは、社員に関する事項は定款の記載事項であることです。
そのため、
・社員変更
・社員構成の変動
がある場合、定款の整合性も確認する必要があります。
「一人」から「複数」になると何が変わるか
実務上、ここが一番迷いやすいポイントです。
一人法人に新社員が加入すると、形式上は「社員追加」に見えますが、実際には次の整理が必要です。
変更前後の整理
| 変更前 | 変更後 |
|---|---|
| 社員1名 | 社員2名以上 |
| 代表社員の概念なし | 代表社員の選定が必要 |
| 単独意思決定 | 社員間の合議構造へ |
したがって、
・代表社員の選定
・業務執行権の整理
・定款規定の確認
が必要になります。
単なる「1名増えるだけ」とは言えないのが、専門職法人特有の難しさです。
添付書類で注意すべき点
通常の株式会社の役員変更登記と異なり、社会保険労務士法人では次の書類が必要になります。
主な添付書類
・新加入社員の社員資格証明書
・印鑑証明書(発行後3か月以内)
・本人確認資料
・定款
・社員の同意書等
特に「社員資格証明書」は、一般法人には存在しない書類であり、提出漏れが補正原因となることがあります。
登録免許税はかかるのか
社員変更登記については、登録免許税は非課税となります。
そのため、費用構成は実務報酬と実費が中心となります。
実務上よくある誤解
1 定款は触らなくてよいと思っている
→社員名が定款に記載されている場合、整合性確認が必須です。
2 合同会社と同じ感覚で考えてしまう
→社会保険労務士法人は専門職法人であり、資格要件が登記実体と直結します。
3 代表社員の選定を失念する
→複数社員になる場合は代表社員の選定が必要です。
本コラムのまとめ
一人社会保険労務士法人の社員変更登記は、
・単なる「氏名の入れ替え」ではない
・法人構造の変更を伴う可能性がある
・定款と登記事項の整合性確認が不可欠
という点に本質があります。
特に「一人」から「複数」へ移行する場合は、代表社員の扱いを含め、慎重な設計が求められます。
制度理解が曖昧なまま申請すると補正や再提出となるケースも少なくありません。実務経験のある専門家による確認が安全です。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、社会保険労務士法人の役員(社員)変更登記手続きを解説を解説しました。
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