法人手続

相続により株式が準共有である場合、株主総会議事録の株主数と株主リストはどう記載するのか?

株式の準共有と株主総会議事録の書き方

1人株主の会社でその株主が死亡し、相続人が複数名(例えば5名)いる。
しかし遺産分割協議はまだ成立していない。
このような場面は、中小企業では決して珍しくありません。

では、株主総会議事録に記載する「株主数」は何名とすべきか。
5名でしょうか。それとも1名でしょうか。

本稿では、会社法106条の権利行使者制度と判例理論を踏まえ、実務的に整理します。

相続発生時、株式はどうなるか

株式は相続開始と同時に、相続人の法定相続分に応じて準共有となります。
この状態では、株式は1単位のまま存在するけど持分が相続人間で分かれているという構造になります。
株式が5つに分裂するというわけではありません。

議決権は誰が行使するのか

会社法106条本文は、株式が共有に属する場合、「株主の権利を行使すべき者」を定めて会社に通知することを求めています。
もっとも、権利行使者の決定方法については学説上、
・共有者全員の同意を要するという見解
・共有持分価格の過半数で足りるという見解
が対立してきました。

この点について、最高裁平成9年1月28日判決 は、権利行使者の指定は共有物の管理行為に当たり、持分割合に従い過半数で決することができると判示しています。
したがって、株主として会社に対して外部的に権利を行使する主体は、あくまで「1つの株式」についての代表者です。

では、株主総会議事録に記載する株主数は何名か?

結論は、原則として「準共有者5名」と記載するのが妥当です。
理由は次のとおりです。

① 遺産分割前の株主は相続人全員である
遺産分割前であれば、株式は準共有であり、株主としての地位は相続人全員に帰属します。権利行使者は代表者にすぎず、株主そのものが1名になるわけではありません。

② 株主リスト実務との整合性
登記実務における株主リストでは、相続人全員を記載する運用が定着しています。
記載例は、以下のとおりです。

議事録のみ1名と記載すると、形式的な齟齬が生じるおそれがあります。
もし株主数を1名と記載する場合は、実務上は、「全株とも相続人5名の準共有」などの補足記載を議事録に付す方法が安全です。

整理表

観点 実務整理
株式の数 1単位のまま
法的状態 相続人5名の準共有
議決権行使 権利行使者1名(又は全員共同)
議事録の株主数 5名と整理(1名と記載する場合は(準共有者5名)とかく)
補足記載 「準共有者5名」と明示が安全


実務上の注意点

・権利行使者の指定と通知の有無を必ず確認
・株主リストとの整合性を検討
・将来的な遺産分割成立後の名義変更も見据える

とくに閉鎖会社では、株主数の誤記が後日の紛争の火種になることがあります。

本コラムのまとめ

相続未了の株式がある場合でも、
・株式は1単位のまま
・外部的には1株主的に扱われる
というのが判例理論の基本構造となります。
これを前提に株主総会議事録や株主リストの記載方法について、よく確認しましょう。

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本日は、相続により株式が準共有である場合、株主総会議事録の株主数と株主リストはどう記載するのか?について解説しました。
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本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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