定款変更

取締役会廃止と代表取締役選定が同時に絡む場合の議案の順序について

議案の順序の重要性

代表取締役の選定は、「その時点での会社の機関設計」に従って行う必要があります。
取締役会設置会社のまま株主総会で代表取締役を選ぶと、権限配分の問題が生じます。

したがって、
取締役会の廃止と代表取締役の選定が同時に絡む場合には、
代表取締役の選定が「非取締役会設置会社となった後」の判断として位置づく構成を採る必要があります。

なぜ議案の順序が問題になるのか

株主総会で複数の議案を扱う場合、
各議案は「一括で同時に成立するもの」ではなく、順に審議・決議されるものとして評価されます。

そのため、第1号議案を審議している時点では、
まだ取締役会設置会社であり、代表取締役の選定権限は取締役会にあるという前提が維持されています。

この状態で株主総会が代表取締役を選定すると、
その時点の機関設計と権限配分が一致しないことになります。

実務上のソリューションは4つある

この問題に対して、実務では次のいずれかの方法を採ることで整理します。
いずれも、代表取締役の選定権限がどこにあるかを時間軸で明確にする点が共通しています。


① 議案の順番を定款一部変更→代表取締役選定にする

定款一部変更のあとに、代表取締役選定とすれば原則通り株主総会で代表取締役を選定することが可能です。
ただし、効力発生日などの都合がある場合は、下記方法で解決すべきでしょう。

② 定款で「代表取締役は株主総会で定める」としておく方法

あらかじめ定款で、代表取締役は株主総会で定めると規定しておけば、
取締役会設置会社であっても、株主総会で代表取締役を選定できます。

この場合は、
・議案の順序
・取締役会廃止との前後関係
を厳密に意識する必要がなく、最もシンプルに処理できる構成になります。

③ 機関設計の変更と新役員体制を一体で決議する方法

定款で株主総会選定としていない場合に用いられる、実務上よくある整理です。
・取締役会・監査役を廃止すること
・非取締役会設置会社となった後の役員体制
を、一体の議案として構成します。

この構成を採ることで、
代表取締役の選定は、非取締役会設置会社となった後の判断
であることが、議事録上も明確になります。

④ 定款附則で移行時の役員体制を定める方法

機関設計の変更に伴う混乱を避けるため、
・取締役会廃止の効力発生日
・その時点での取締役・代表取締役
を、定款附則で明示する方法です。

この方法では、
・いつから非取締役会設置会社になるのか
・その時点の代表取締役は誰か
が、時間軸として明確になり、議案順序に起因する権限問題を構造的に回避できます。

実務での整理は「選定権限の所在」を基準にする

この論点は、誰を代表取締役にするかではなく、
その判断をしている時点で、誰に選定権限があるか
を基準に整理します。

上記いずれかの方法を採っていれば、
議案の順序によって代表取締役選定の適法性が問題になることはありません。

本コラムのまとめ

取締役会廃止と代表取締役選定が同時に絡む場合には、
代表取締役の選定は、必ず「その時点の会社の機関設計」に従わせるという一点を外さないことが重要です。

そのための実務的な選択肢としては、
①定款で株主総会選定としておく
②機関変更と役員体制を一体で決議する
③定款附則で移行時点を明確にする
いずれかを採れば足ります。

議案の順序で悩む場面の多くは、あらかじめ構成を選んでおけば回避できる問題です。

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本日は、取締役会廃止と代表取締役選定が同時に絡む場合の議案の順序について解説しました。
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本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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