種類株式

種類株式の登記事項とは?登記できる内容・できない内容を整理

種類株式を定める際の登記事項

種類株式を定める際、定款にはさまざまな条項が盛り込まれますが、
「何を登記できるのか」「どこまで登記事項に含まれるのか」については、
実務上の明確な資料が少なく、判断に迷う場面も多いのが実情です。

本稿では、会社法および商業登記の取扱通達に基づき、種類株式の登記事項と非登記事項を一覧で整理します。

種類株式の登記事項の法的根拠

会社法第911条第3項第7号では、株式会社の登記事項として次のように規定されています。

「発行する株式の内容(種類株式発行会社にあっては、発行可能種類株式総数及び発行する各種類の株式の内容)」

さらに、商業登記の取扱基準により、登記対象となるのは次の事項と整理されています。

「会社法第108条第2項各号に定める事項(会社法第322条第2項の定めを設けた場合にあってはその定め、同第108条第3項後段の要綱を定めた場合にあってはその要綱)および変更年月日」

つまり、第108条第2項・第3項後段・第322条第2項の範囲内が登記事項です。

登記事項と非登記事項の整理表

事項 登記要否 コメント・根拠等
剰余金の配当 会社法108条2項
残余財産の分配 同上
株主総会における議決権の行使 同上。議決権の制限がない場合は登記不要とする法務局もあり。
譲渡制限株式に関する定め 同上
取得請求権付株式に関する定め 同上
取得条項付株式に関する定め 同上
全部取得条項付種類株式 同上
種類株主総会の決議を要する事項 同上
種類株主総会での役員選任権 同上
会社法322条1項各号に掲げる行為につき種類株主総会を要しない旨の定め 会社法322条2項。株式の内容とされるため登記事項。
剰余金の配当額等を後決で定める旨の要綱 会社法108条3項後段の要綱
取得価額調整条項(株式分割・併合・無償割当等) 取得対価の決定方法の一部として扱われるため登記事項に該当する場合あり。
株式の分割・併合に関する条項 × 会社全体の取扱に関する定めであり、株式内容に非該当。
株式割当て・新株予約権割当てに関する条項 × 同上。株式の種類の内容に該当しない。
みなし清算条項(合併・株式移転・株式交付等) × 同上。会社取扱事項に該当。
会社法199条4項等に基づく種類株主総会不要の定め × 322条2項のような「株式の内容として」の文言がないため登記事項外。


本コラムのまとめ

種類株式の定款条項は多岐にわたりますが、登記事項として登記簿に反映できるのは、
会社法108条第2項・第3項後段・第322条第2項に基づく内容に限られます。

実務上は、条項を設計する段階で
「登記事項となる内容か否か」「法務局で受理されるか」を事前に確認しておくことが重要です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、種類株式の登記事項とは?登記できる内容・できない内容を整理しました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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