役員

役員の氏名(登記 vs 戸籍)「同じ字」と扱える範囲と実務の最適解

役員の氏名

「髙(はしごだか)」と「高」など、字形が異なるが同一と扱われる文字は少なくありません。
本稿では、就任・変更・退任それぞれの局面でどこまで柔軟に運用できるか、どこをそろえるべきかを、実務の手順に落として整理します。

基本原則:同一性が保てるなら登記は通るが、書面間の整合は付ける

・旧字・俗字・通用字体など字形差があっても「同一の文字」と扱える範囲なら、登記は可能です。
・ただし、登記申請書と添付書類の字形が不一致だと、法務局から確認の連絡が入りやすくなります。
→ 実務では、委任状や送付状で「登記は○○で登録してください」と明示しておくのが最短です。

就任時:どの字で登記するかを先に決める

優先度は次の順で検討するとトラブルが減ります。

1.本人の通常使用字(自署・名刺・実印の印影)
2.会社の方針(役員は印鑑証明書の字で統一/通用字体で統一 など)
3.金融機関/対外照合リスク(代表取締役は印鑑証明書と一致させるのが無難)

申請直前に印鑑証明書で字形差に気づいた場合
・議事録はそのままでも可(同一字なら訂正不要)
・申請書側を最終方針に合わせ、委任状で指定(例:「代表取締役の氏は『髙田』で登記願います」)

登記後に字を変えたい場合:更正 or 重任時に同時変更

A. いますぐ変えたい(登録免許税不要で足る運用が一般的)
更正登記で対応(「誤記」ではなくても、手法としては更正で運用されるのが通例)
・私見ですが、更正原因を証する書面は通常不要で回る運用が多いです(実務慣行)。

B. 重任まで待てる
重任登記の申請書に希望の字形を記載して更新(登録免許税は更正分は不要)
・見落とし防止のため、委任状・送付状に明示しておく

退任時の書き方

退任登記は本人特定ができれば足りるので、登記簿が「髙田」でも、申請書記載を「高田」で行って差し支えないのが実務です(同一字扱いの範囲で)。

外字・機種依存文字まわりの注意点(最小限)

外字・機種依存になりやすい字形は、通用字体へ引き直しの提案が安全(入力・検索・他資料との突合が安定)。
・会社目的・新株予約権の要項・種類株式の別表で使いがちな丸付き数字等の記号は、括弧等に置換提案が無難(協力依頼ベース)。

メモ書き・委任状の実例(そのまま使えます)

送付状/委任状への一文
・「本件登記における代表取締役の氏は『髙田』で登録ください(添付書類の『高田』は同一字)。」
・「重任に伴い氏の字形を『高田→髙田』に変更します(同一字)。」

社内チェック・フォーム追記
□ 役員氏名:印鑑証明書の字/通常使用字を確認
□ 申請書と添付書類の字形が一致/不一致(不一致なら委任状で指定)
□ 代表者のみ印鑑証明書と一致方針/全役員通用字体方針

本コラムのまとめ

・就任時に方針を決める → 申請書側で統一 → 委任状で明示。
・登記後の変更は、緊急=更正、待てる=重任同時が経済的。
・代表者は印鑑証明書の字に合わせると対外実務がスムーズ。
・法務局とのやり取りは、不一致=誤りではなく同一字であることを先回りして説明する、が最短ルートです。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、役員の氏名(登記 vs 戸籍)「同じ字」と扱える範囲と実務の最適解について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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