単元株とは?仕組みと実務上の留意点
単元株の基本概念
株式会社は、定款で「一定数の株式を一単元とする」ことができます(会社法188条)。
例えば10株を1単元とすれば、3株や9株しか持たない株主は「単元未満株主」となり、株主総会で議決権を行使できません。
議決権がないため、株主総会招集通知も送付されません。
単元株制度は、株主総会での議決権を整理するために導入されており、上場会社を中心に広く採用されています。
種類株式ごとの単元株設定
単元株式数は株式の種類ごとに異なる設定が可能です。
例えば
・普通株式 … 100株=1単元
・A種類株式 … 10株=1単元
これにより、株式数が同じでも議決権数に差を設けることが可能です。
ただし、議決権差のみを目的とするなら、会社法109条の「属人的株式」を活用する方が実務上は適切です。
単元未満株主の権利
単元株を持たない株主の権利は制限されますが、会社法189条2項により、以下の権利は制限できません。
・全部取得条項付種類株式の取得対価を受ける権利
・取得条項付株式の取得と引換えに交付を受ける権利
・株式無償割当てを受ける権利
・単元未満株式の買取請求権(会社法192条)
・残余財産分配請求権
単元株の上限
単元株式数には上限があり、以下のいずれか低い方です。
・1,000株
・発行済株式総数の200分の1
例:発行済株式数50,000株の会社では、単元株数の上限は250株となります。
単元未満株式の制度
1. 買取請求(会社法192条)
単元未満株主は会社に対し、自らの株式を会社に買い取るよう請求できます。
2. 売渡請求(会社法194条)
会社は定款で定めることにより、単元未満株主に対して、端株を補充するために必要な株式数を会社に請求させることができます。
例:単元株10株に対して6株しか持たない株主が、4株の売渡しを会社に請求できる。
単元株と登記手続
単元株式数は登記事項です。
新設・変更・廃止を行った場合は、効力発生日から2週間以内に登記申請が必要です。
単元株の設定方法
・原則:定款変更(株主総会特別決議)
・新たに単元株を設定する場合
・単元株式数を増加させる場合(例:10株→100株)
・例外:取締役会決議等で可能な場合
・株主の不利益とならないケースでは、株主総会決議を要さずに変更可能。
・単元株の廃止
・単元株式数の減少
・株式分割に伴う設定や増加(議決権が減らない場合)
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本日は、単元株とは?仕組みと実務上の留意点について解説いたしました。
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