更正登記・抹消登記

登記の「遺漏」とは何か、更正登記との境界と、漏れやすい論点の整理

登記の遺漏と更正

新規クライアントの履歴事項を点検していると、登記事項なのに登記されていない/一部だけ記載が抜けているといった事案に出会います。
本コラムは実例をもとに、遺漏更正ではなく通常の変更登記で処理する場面、添付の考え方、漏れやすい定型論点を整理します。

本コラムの要点

・「遺漏更正」になるのは「一体となるべき登記事項のうち一部のみが漏れた」場合。
・独立の登記事項が丸ごと漏れているときは、通常は更正ではなく変更登記で補う。

 漏れやすい論点として、
 1.監査役会設置会社の旨の登記漏れ
 2.取締役会決議による役員の責任免除の登記漏れ
 3.監査範囲限定のまま責任免除規定を定款に置いてしまう不整合(登記できないのに規定だけある)
 4.決算公告のIT化等により公告義務が不要になった後の抹消登記漏れ

が指摘されます。
・「社外取締役・社外監査役の旨」は、取締役等の登記と一体ではなく独立して追加・抹消される扱いのため、更正ではなく変更登記で対応する。

遺漏と「遺漏更正」の違い

・遺漏更正の典型:目的の条項の一部が抜けた、株式の内容の一部が抜けた、代表取締役の住所が抜けた等、「一体の記載のパーツ落ち」。
・更正ではなく変更で足す典型:取締役の誰か一人が漏れた、監査役会設置会社の旨そのものが漏れた等、独立の登記事項が抜けているとき。

漏れやすい・見落としやすいポイント

1. 監査役会設置会社の旨が「そもそも登記されていない」
・定款では監査役会設置会社なのに、登記がない例。
・会計監査人設置会社の登記はあるのに、監査役会設置会社がないというケースが実際に確認されている(元記述)。
・対応は変更登記で追補。添付は下記「添付実務メモ」を参照。

2. 取締役会決議による責任免除の登記漏れ
・漏れが多いとの指摘(元記述)。決議があっても登記を忘れやすい。
・監査範囲が会計限定のまま、定款に取締役会の責任免除規定を置いている不整合も散見(元記述)。この場合は登記自体ができないのに規定だけある、という設計ミスになりうる。

本コラムのまとめ

・独立項目の抜け=変更登記で追補が基本。
・社外の旨/責任免除/公告抹消は漏れがち。定期点検のチェックリストに固定化すると防げます。
・会社法施行当時の立証が必要な場面では、旧管轄の記録・閉鎖/履歴の使い分けで当時を復元する——元コンテンツの実務的な工夫が有用です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、登記の「遺漏」とは何か?更正登記との境界と、漏れやすい論点の整理を行いました。
定款の機関設計(監査役会・会計監査人)と登記の整合は取れているか。
責任免除の登記:決議の有無と登記事項を突合、などをポイントに点検を行いましょう。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

ご相談・ご依頼はこちら
お問い合わせ LINE

ご相談・お問い合わせはこちらから