端株原簿名義書換代理人の登記抹消手続きと必要書類
端株制度と代理人制度の廃止
会社法施行前は、1株未満の端数である「端株」が存在し、その管理のために「端株原簿」を備え、名義書換代理人を置くことができました(旧商法220条の2第5項、206条第2項)。
しかし、会社法施行により端株制度そのものが廃止され、現在は登記制度上も端株は存在しません。
もっとも、整備法86条1項により、施行時に現に存在していた端株についてはなお従前の例によるとされており、端株が残っている会社では経過措置として有効です。そのため、端株原簿や代理人の登記も残り得ます。
抹消登記が必要となる場合
施行前に端株原簿名義書換代理人を登記していた会社で、現在端株が存在しない場合には、当該代理人の登記を抹消する必要があります。
「端株が存在しない以上、自動的に抹消されるのでは?」と誤解しがちですが、条文上、定款の定めが当然に無効となる規定はありません。
したがって、抹消のためには定款変更決議を行い、その議事録を添付して変更登記を申請する必要があります。
添付書類と登記原因日
添付書類
・株主総会議事録(端株原簿名義書換代理人に関する定款の定めを廃止する決議)
・株主リスト(現行法上、定款変更を行う株主総会議事録には添付が必要)
登記原因日
定款変更の決議の効力発生日。
登録免許税
登録免許税法別表第1第24号(一)ネ「その他の変更の登記」に該当し、他の変更登記とあわせて申請すれば3万円。
実務上の留意点
・上場会社など、かつて端株を発行していた会社では、単元株制度を導入している場合が多く、その時点で端株は消滅しています。
→ しかし、代理人の登記は残ることがあるため、定款変更決議をもって抹消手続を取る必要があります。
・「端株は廃止されたから自動的に代理人も消滅」と考えて登記を放置すると、定款上は存在しない規定が登記簿に残り続けるという不自然な状態になるため注意が必要です。
・株主総会議事録を添付するため、株主リストの提出が必須となる点も忘れがちなポイントです。
本コラムのまとめ
・端株制度は会社法施行により廃止されたが、経過措置により端株原簿や代理人登記は残ることがある。
・抹消には株主総会で定款変更を決議し、その議事録を添付することが必要。
・登記原因日は定款変更効力発生日、登録免許税は他の変更登記と合わせて3万円。
・実務では、株主リストも添付が求められるため、事前準備を怠らないことが重要。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、端株原簿名義書換代理人の登記抹消手続きと必要書類について解説いたしました。
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