三角合併の登記実務とポイント
三角合併の登記
三角合併は、存続会社(子会社)が合併対価として親会社株式を交付するスキームであり、通常の合併に比べて関与する会社や登記の流れが複雑になります。
ここでは、実際の初案件を通じて整理された実務上の留意点をまとめます。
三角合併とは
・通常の合併→A社(存続会社)がB社(消滅会社)を吸収し、対価はA社株式。
・三角合併→A社があらかじめ親会社(甲社)の株式を取得し、対価を甲社株式としてB社株主に交付。
・会社法800条により、合併対価としての親会社株式取得は特例的に許容されています(通常は子会社による親会社株式取得は禁止)。
実務で直面した課題
(1) 親会社株式の取得と登記書類
・子会社による親会社株式の取得は、通常の登記添付書面からは「合併対価目的の取得」かどうか判別できない。
・株主リストからも親子関係は見えないため、株主総会議事録に明記することで説明責任を果たした。
(2) 効力発生日の同日設定
・合併効力発生日と親会社の増資効力発生日を同日に設定。
・登記上は相関関係を直接確認できないが、登記申請を同時に行い、管轄も同一であったため、調査の中で整合性が確認可能。
・念のため、合併の委任状に「条件(親会社株式の取得)が成就した旨」を記載した。
(3) 登記申請の進め方
・三角合併に伴う登記と、親会社の募集株式発行による増資登記を同時に申請。
・任意の連件設定は行わず、個別の申請として処理。
・結果的には大きな補正もなく、スムーズに完了。
実務上の示唆
・一見複雑に思えるスキームでも、登記の視点では手続が淡々と進むこともある。
・添付書類から相関関係が読み取れない場合は、議事録や委任状への記載で補足することが有効。
・管轄が同一であれば調査も容易だが、管轄が分かれる場合は処理に時間を要する可能性があるため、スケジュール管理が重要。
本コラムのまとめ
三角合併は「親会社株式を交付する合併」という点で特殊ですが、登記申請自体は従来の合併登記や増資登記の枠組みを活用することになります。
法的根拠と添付書類の工夫を押さえることで、スムーズに処理できるかと思います。
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本日は、三角合併の登記実務とポイントについて解説いたしました。
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