解散・清算

清算会社における事業継続の可否と実務対応

清算会社の目的

会社が解散すると、通常の営業活動は終了し、会社は「清算会社」として残務処理に移行します。
清算会社の目的は、会社法第476条に定めるとおり「清算の目的の範囲内」に限定されます。
つまり、解散前のような前向きな事業活動はできず、あくまで残務整理・資産換価・債務弁済が中心となります。

書籍・解説の見解

子会社の解散・清算手続の実務(商事法務)
「会社が解散し清算手続きを開始した以上、定款所定の事業活動を行いえない」とし、原則的には一切の事業活動を行えないとの整理。

会社法コンメンタール12(商事法務)
「財産換価のため事業譲渡等をなす予定の場合には、事業の減価を防止するため営業を継続することも許される」との記載あり。
→ 原則は禁止だが、清算目的に直結する「相当な理由」がある場合に限って例外的に事業継続を認める余地がある。

実務上の判断

・原則→契約や業務を「きりの良いところまで継続する」という考え方は難しい。
・対応→解散前にグループ会社への契約移管を行うことで、解散後に残務を抱え込まないようにする。
・経理処理→解散日以降に売掛金・外注費・人件費が発生する構造を残すと、解散日基準の計算書類や債権者保護手続と整合しなくなる。

本コラムのまとめ

清算会社では、原則として定款上の事業は継続できません。例外的に事業価値維持のための営業継続が認められる場合もありますが、慎重に判断すべきです。
実務的には、解散前に契約や事業を他社に移管し、解散日以降は純粋な残務整理のみを行う体制を整えるのが望ましいといえます。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、清算会社における事業継続の可否と実務対応について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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