株式分割・株式併合

自己株式の取得日はいつか?申込期日と支払日の整理

自己株式取得の基本的な流れ

自己株式を取得する場合、大きく分けて以下の2つの手続があります。

1.株主全員に対する取得(株主総会で枠を設定し、取締役会が範囲内で決定する)
2.特定株主からの取得

前者の流れは、①株主総会で取得枠を決定 → ②取締役会で具体的条件を決定 → ③株主へ通知 → ④株主が申込期日までに申込 → ⑤申込株式数確定・代金支払、という形になります。
この際、「自己株式を取得する日」がいつか、という点については会社法に明確な規定がありません。

申込期日と支払日のズレ

実務では、申込期日と支払日が同日とは限りません。資金移動の都合などで、申込期日から数日後に支払うケースもあります。
ここで問題となるのが、取得日は申込期日か、それとも支払日かという点です。

・会計処理の観点からは、支払日に「自己株式」として振り替えるため、支払日を取得日とする考え方もある
・しかし、会社法上は「申込と承諾」の合致で契約が成立するため、原則は申込期日に効力が発生すると理解されます

通常の株式売買も、意思表示の合致で所有権が移転し、特約があれば効力発生日を変更できます。
同様に、自己株式取得も申込期日が基準になると解されます。

上場株式との比較

インターネット上には「取得日は契約成立日ではなく代金支払日」とする見解もあります。
これは上場株式の売買における「約定日と受渡日のずれ」を念頭に置いたものです。
市場取引では受渡日が効力発生日となるため、上場株式の自己株式取得では支払日が取得日となる場合があります。
しかし、非上場会社における自己株式取得は、市場取引ではなく当事者間の契約によるため、原則として申込期日が取得日と考えるべきです。

実務上の確認と対応

実務書(例:「よくわかる 自己株式の実務処理Q&A」)でも、申込期日に効力が発生する旨が整理されています。
もっとも、当事者間で別途効力発生日を取り決めることも可能です。

今回の事例では、混乱を避けるため、申込期日と支払日を一致させるように調整しました。
小さな論点に見えても、決算処理や登記、関係者への説明に影響するため、取得日の理解は非常に重要です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、自己株式の取得日はいつか?申込期日と支払日の整理について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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