定款変更 / 役員 / 登記申請手続(各種)

事業年度の変更と会計監査人の任期、定款変更が及ぼす影響と実務対応

会計監査人の任期の特徴

会計監査人は取締役や監査役と異なり、

・任期の伸長が認められない
・自動再任制度がある
・任期途中で辞任しても「権利義務規定」の適用がない
・補欠規定がない

といった独自の取り扱いがあります。
そのため、登記上も「会計監査人設置会社」として登記されているにもかかわらず、会計監査人が不在という状況が起こり得ます。

事業年度変更と任期の問題

会社法上、事業年度は原則1年ですが、変更により最長1年6か月まで伸長できます。
この場合、1年任期の会計監査人や委員会設置会社の取締役について、「選任後1年以内に終了する事業年度が存在しない」という状況が発生することがあります。
実際に、ある会社で6か月決算から1年決算へ変更する場面があり、会計監査人の任期をどう扱うかが問題となりました。

先例の内容

平成21年末に示された先例は次のとおりです。

事業年度変更後に会計監査人を選任(重任)した場合
 → その事業年度末まで任せることになるので、変更後の事業年度が1年を超えても、定時株主総会終結時に退任する。

会計監査人選任後に事業年度を変更した場合
 → 選任時点でその事業年度末まで任せたことにならないため、変更効力発生日に任期満了となる。

実務上もこの先例に沿って判断されることになります。

再任手続と自動再任

定時総会での重任であれば、自動再任制度により再任されたものと扱われます。
一方、臨時総会での定款変更により任期満了となった場合には、自動再任の適用はなく、改めて選任決議が必要とされます。

実務上の対応

会計監査人は権利義務規定がなく、補欠制度もないため、選任が遅れると直ちに欠員が生じます。
また、監査法人の就任承諾書の取得には時間を要することが多いため、空白期間が生じるリスクがあります。

他の事例において(ウェブ上で)は、臨時総会による定款変更で任期が満了したが、特殊な取扱いとして「就任承諾書を改めて提出することなく再任された」とされている例も確認できましたが
この取り扱いが認められるかについては、管轄法務局ごとに異なる可能性が高いため、登記申請前に必ず法務局に確認しましょう。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、事業年度の変更と会計監査人の任期、定款変更が及ぼす影響と実務対応について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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