会社設立時の定款附則は削除できるのか?
設立時附則をめぐる疑問
会社設立時の原始定款の附則には、以下のような「設立時にのみ必要な事項」が記載されます。
・設立に際して出資される財産の価額または最低額
・発起人の氏名・名称および住所
設立後は不要であり、削除している会社も多く存在しますが、会社法には「設立後は削除してよい」とする規定は存在しません。
そのため、「附則を削除してよいのか?」という疑問が残ります。
実務上の取扱いと疑問
実務では、設立後に定款変更をして附則を削除することが行われています。
一方で、ある法人が主務官庁の認可を受ける際、「設立時附則は削除できない」と指摘された例もあります。
つまり、実務と行政解釈に差異があるのです。
実務上は、原始定款の附則について、設立時関連事項は、設立時点の事実であるから後から実体的に変更できるものではないとされています。
ただし、その内容が実務上もはや問題にならない段階に至ったときは、定款の備置・閲覧義務に違反しない範囲で、形式上は定款から削除してもよいと考えられています。
つまり、削除決議をしても事実が消えるわけではなく、単に「閲覧対象から外す」意味にとどまる、ということです。
定款変更としての性質
附則を削除する定款変更は、一般的な定款変更と大きくは変わりません。
変更しても「過去にさかのぼって存在しなかった」ことになるのではなく、あくまで表示上消えるだけです。
そのため、実務上行われている附則削除の定款変更決議は「無効」というわけではなく、あくまで「閲覧対象から外す取扱い」として理解されています。
主務官庁の監督下にある場合
ただし、主務官庁の認可が必要な法人などでは、附則削除を認めない取扱いがあるようです。
統一的に扱われているわけではないようですが、監督官庁の判断次第では削除できない場合があると考えるのが妥当です。
本コラムのまとめ
・設立時附則は設立後に不要となるが、削除できるかは会社法上明確でない。
・実務では削除の定款変更が広く行われているが、これは「表示上の削除」にとどまる。
・主務官庁の監督下にある場合は削除を認めない取扱いもあるため、注意が必要。
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本日は、会社設立時の定款附則は削除できるのか?について解説いたしました。
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