会社の本店(住所)移転

本店移転登記の実務ポイントと注意点

本店移転の意思決定の流れ

本店移転について、実際の企業での意思決定はおおよそ次のように進みます。

1.移転の検討開始(相場調査や候補地の比較)
2.移転方針の決定(担当者から報告、物件探し継続)
3.物件決定・引越時期の確定
4.細部準備と並行して登記手続の依頼

この時点で「取締役会で決議済み」と言われることが多いのですが、登記に耐えられる議事録になっていないケースが目立ちます。

決議事項の整理

(1)株主総会での決議事項
・定款に「当会社は本店を●●に置く」と規定されている場合、その所在地を超えて移転する際は定款変更決議が必要。
・決議日と移転日が大きくずれる場合は、定款変更の効力発生日を移転日に近づけることが望ましい。

(2)取締役会での決議事項
本店を移転すること
・「本社」ではなく「本店」という表現を明確に。
・「変更」ではなく「移転」という表現を用いること。

新本店所在地
・登記事項として記載する住所を明確に決定。
・ビル名や階数を登記に含めるかどうかも検討する。

本店移転の時期
・登記される移転日は「取締役会決議日」「現実移転日」「定款変更効力発生日」のうち最も遅い日。
・実務上は「現実に移転した日」が多い。

実務上よくある質問

Q1. 移転日が未確定のまま取締役会で決議できますか?
A1. 「●月●日から●月●日までの間」と範囲を区切って決議すれば可能です(1か月程度が目安)。登記の際には委任状で実際の移転日を確定させます。

Q2. “現実移転日”とは具体的にいつを指しますか?
A2.現実に新本店で営業を始めた日=本店移転日として扱うケースが多いです。

登記上の注意点

・管轄登記所が変わる場合は、印鑑カードが切り替わるため要注意。
・登記完了まで通常よりも時間がかかるため、早めの申請準備が必須です。

本コラムのまとめ

本店移転は「単なる引越し」ではなく、定款変更や取締役会決議、そして迅速な登記が絡む重要な会社法手続です。
議事録の表現や決議内容の不備で補正がかからないよう、移転日・所在地・決議事項を明確に整理して臨むことが肝要です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、本店移転登記の実務ポイントと注意点について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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