法定書類

株主総会における招集手続省略と招集期間短縮の同意、実務判断のポイント

株主総会の招集原則と例外

会社法では、株主総会を開催するには、定時株主総会・臨時株主総会を問わず、総会日の1週間前までに招集通知を発送するのが原則です(公開会社の場合は2週間前)。
これを欠くと「招集手続の瑕疵」となり、株主総会決議が無効とされるリスクがあります。

もっとも、株主全員が同意すれば瑕疵は治癒されるため、実務上は「招集手続省略」や「招集期間短縮の同意」が頻繁に行われています。

招集手続省略と招集期間短縮の違い

招集手続省略
→ 招集通知を一切出さず、株主全員の同意により総会を開催する方法(会社法300条)。

招集期間短縮
→ 招集通知はするが、法定の招集期間が不足するため、株主全員の同意により短縮する方法。

取締役会設置会社は招集通知を書面で必ず発する必要がありますが、取締役会非設置会社では口頭通知も可能です。
ただし、取締役会設置会社において、あらかじめ、株主から「電磁的方法による承諾」を得ていれば、メールやチャットなどで株主総会招集通知を発出することが可能です。

書面作成の要否

・法律上、同意書面の作成義務はありません。
・ただし実務では、会社の状況や株主構成によって書面を残すかどうか判断されます。

書面を省略できる典型例
・株主=取締役であり、株主総会開催を自ら決定できる場合。
・議事録に「招集手続省略の同意により開催」と記載すれば足りる。

書面を残した方が良い例
・大株主の親族など、普段総会に関与しない株主がいる場合。
・大企業の子会社など、第三者から適法性の説明を求められる会社。

実務判断の基準

・招集通知を渡しておきたい場合 → 招集期間短縮を選択。
・リスクがなくシンプルに済ませたい場合 → 招集手続省略を選択。

いずれも登記に添付する書面ではないため、ケースに応じて柔軟に判断してよいと考えられます。

本コラムのまとめ

・株主総会の招集は原則1週間前通知、全員同意があれば省略・短縮が可能。
・書面の作成は義務ではないが、会社の状況によっては残すことが望ましい。
・招集手続省略と期間短縮は、会社の規模・株主構成・リスク許容度に応じて選択する。
・実務では司法書士がリスク判断を踏まえ、会社ごとに適切な助言を行うことが重要。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、株主総会における招集手続省略と招集期間短縮の同意、実務判断のポイントについて解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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