株式分割・株式併合

株式分割の基準日公告は必要?定款規定との関係と実務対応

株式分割と基準日公告の原則

株式分割を行う場合には、必ず基準日を設ける必要があります(会社法124条)。
さらに、基準日を定めたときは、その2週間前までに「基準日」と「基準日株主が行使できる権利の内容」を公告しなければなりません。
ただし、定款にあらかじめ「基準日」や「株主の権利内容」を定めている場合には公告は不要です。

他の基準日公告との違い

定時株主総会の議決権基準日や期末配当の基準日は、多くの会社が定款に定めているため公告不要です。
このため「株式分割でも同じように公告を省略できるのでは?」と考える会社もありますが、株式分割の場合は基準日の設定が必須であり、原則として公告が求められます。

実務上の工夫と課題

公告費用の負担を避けたい会社も少なくありません。
例えば、ある会社では「1年に4回の基準日」を定款に規定していました。
基準日の効力は3か月間有効であるため、定期的に基準日を設けておけば、公告を省略できると考えたのです。
しかし、条文上、公告を省略することができるのは、「基準日」に加えて、定款に「基準日株主が行使できる権利の内容」が明記されている必要があるため、この規定を根拠に公告を省略するのは難しいと考えられます。

実際の問い合わせ事例

実務では次のような相談が寄せられることがあります。

「定款変更で株式分割の基準日を定めれば、公告は不要になるのではないか?」

理論的には成立しますので、株主の人数が、少ない会社であればこれを行い1日で株式分割を完了させる会社もあります。
一方で、株主が多数いる会社においては、実際に運用している例はあまりないように思います。
公告料を回避する目的だけで定款を変更するのは現実的ではなく、かえって将来の登記や手続に支障を及ぼすおそれもあります。

本コラムまとめ

・株式分割では必ず基準日を設定し、原則として公告が必要。
・定款に「基準日」と「株主の権利内容」を定めていれば公告不要。
・定期的に基準日を定める工夫もあるが、公告省略の要件を満たすには限界がある。
・「定款変更で公告不要にできるのでは」という相談もあるが、実務的には推奨できない。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、株式分割の基準日公告は必要?定款規定との関係と実務対応について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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