役員の選解任に関する種類株式の設計と実務上の工夫
事業承継と株式設計の課題
事業承継の場面では、後継者に経営権を集中させたいというニーズが非常に強くあります。
しかし現実には、創業家以外の少数株主や従業員株主が一定の割合を保有していることが多く、株式が分散することで後継者が経営の安定性を失うリスクがあります。
そのため、単純に株式を承継させるだけでは不十分で、種類株式の活用によって「議決権の設計」と「経済的利益の分配」を切り分けることが重要になります。
役員の選解任付種類株式の概要
会社法第108条第1項第9号に基づき、種類株式として「取締役や監査役の選任・解任を決議できる株式」を発行することが可能です。
・通常の株主総会では取締役の選解任はできなくなり、
・特定の種類株主総会のみが役員の選解任権を持つ、
という強力な機能を持たせることができます。
経営権を後継者に委ねつつも、旧経営者や一定株主に取締役の選解任権を残す、といった設計が可能です。
実務上の代替設計
もっとも、実務的には「役員の選解任付種類株式」を導入すると、種類株主総会を開催しなければならず、総会の回数が増え運営が煩雑になるという問題があります。
そこで代替案として、
・普通株式の議決権を制限する設計を行い、
・「取締役選解任のみ議決権あり/なし」といった条項を付す、
という方法があります。
この場合でも、最終的に「誰が取締役を選解任できるか」をコントロールできるため、実務負担を軽減しつつ、目的を達成できます。
設計のポイント
シンプルさが重要
定款が複雑になると、後日の運用担当者が理解できずトラブルの原因になりやすい。
属人的株式との比較
特定の人物に基づく属人的種類株式は理論的には可能でも、実務上は不確実性が多く、会社法108条の範囲で設計されるのが一般的。
税務・承継対策との一体設計
株式評価や贈与・相続税対策とも関連するため、税理士との連携も不可欠。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、役員の選解任に関する種類株式の設計と実務上の工夫について解説いたしました。
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