合同会社の組織再編における吸収分割の実務、総社員の同意・契約書記載事項・添付書面
株式会社と合同会社の承認機関の違い
株式会社の組織再編(合併・会社分割など)は原則として株主総会の特別決議が必要です。
ただし、略式・簡易組織再編の要件に該当する場合には株主総会は不要で、取締役会決議や取締役の過半数の一致で足ります。
一方、合同会社が承継会社となる吸収分割では、会社法802条1項2号により、対価が合同会社の持分である場合に限り総社員の同意が必要とされています。
つまり、現金対価など持分交付を伴わない場合は、業務執行社員の決定で足ります。
総社員の同意が不要となる場合
さらに、定款に別段の定めがあれば「持分対価の場合でも総社員の同意は不要」とすることができます。
もっとも、実務では社員が一人の会社も多く、同意・決定の違いが形式的になることも少なくありません。
吸収分割契約書の記載事項
吸収分割契約書には、会社法760条に基づき以下を記載します。
・社員の氏名・名称および住所
・無限責任社員または有限責任社員の区別
・出資の価額
ここで問題となるのが「出資の価額」の解釈です。
承継する財産の価額と同一なのか、または算定方法をどうするのかについては条文上明確でなく、複数社員が加入する場合の按分方法も含め疑問点が残ります。
実務上は、承継財産の価額を参考に旧来の出資額を引き継ぐ形で記載する例が多いとされています。
契約書の締結者は誰か
合同会社側の契約締結者については、「職務執行者が署名するのか」「代表社員たる株式会社の代表取締役が署名するのか」という点で議論があります。
今回の事案では職務執行者が署名し、登記も受理されましたが、実務上は会社の代表権限を誰が行使するかに応じて判断する必要があります。
添付書類一覧
今回の登記で用意した添付書類は以下のとおりです。
・吸収分割契約書
・合同会社の総社員の同意書(本来は業務執行社員決定書で足りる場合もあり)
・株式会社側の株主総会議事録・株主リスト
・官報による吸収分割公告
・個別催告書面(2社とも)
・債権者の異議がないことの証明書(2社とも)
・登記申請委任状(合同会社のみ)
※ 登記事項証明書・印鑑証明書については、会社法人等番号を記載すれば添付省略が可能です。
本コラムのまとめ
・合同会社が承継会社の吸収分割では、持分対価の場合に限り総社員の同意が必要。定款で不要とできる場合もある。
・吸収分割契約書には「社員の出資額」を記載するが、その算定方法は必ずしも明確でない。
・契約書の署名者については、職務執行者か代表社員(株式会社の代表取締役)かで議論があるが今回は職務執行者で問題はない。
・添付書類は株式会社と合同会社で必要なものが異なり、会社法人等番号の記載により添付省略が可能。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、合同会社の組織再編における吸収分割の実務について解説いたしました。
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