役員変更

社長と代表取締役の関係と定款規定の実務

社長は法律上の資格ではない

社長や会長、専務、常務などの「役付取締役」は、会社が任意で定める肩書きであり、会社法上の資格ではありません。
通常は定款に「取締役会の決議により取締役の中から社長1名を選定する」などと規定します。
役付取締役は商慣行上、業務執行権限を持つことが多く、会社の組織運営において重要な意味を持ちます。そのため、多くの会社が定款に役付取締役の種類と選定方法を明記しています。

社長と代表取締役の定款規定パターン

社長と代表取締役の関係は定款規定によって異なります。主な類型は以下のとおりです。

パターン 内容
社長を選べば自動的に代表取締役となる
代表取締役を選べば自動的に社長となる
代表取締役の中から社長を選ぶ
社長と代表取締役を別々に選ぶ(代表取締役でない社長も可)

①は日本の中小企業で最も多く見られ、決議が一つで済む簡便さが特徴です。
②は登記実務上の整合性が取りやすく、③は複数代表取締役を置く場合に有効です。④は大規模会社に多く、法律上の資格と役付肩書きを明確に分けています。

議案の書き方と決議のまとめ方

定款規定に応じ、議案の表現やまとめ方が異なります。

パターン①「代表取締役(社長)選定の件」として、社長選任を含む趣旨を表現
パターン②「代表取締役選定の件」とのみし、社長は自動的に決まるため特記不要
パターン③・④代表取締役と社長を別議案にするか、同一人物の場合は一つの議案にまとめる

社長以外の役付取締役を同時に選ぶ場合は、「代表取締役選定」と「役付取締役選定」を分けて記載します。

「代表取締役社長」という肩書きの扱い

「代表取締役社長」という呼称は便宜的なもので、法律上の資格名ではありません。
議事録の議題として「代表取締役社長選定の件」とするのは厳密には誤りであり、法務局から訂正を求められる可能性があります。
ただし、議事録末尾の署名や押印時の肩書き、名刺や契約書などの表記には差し支えありません。重要なのは、代表取締役の選定議案では正しい法的表現を用いることです。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、社長と代表取締役の関係と定款規定の実務について解説いたしました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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