事業目的

民泊の定款の書き方!会社事業目的の記載例を司法書士が解説

民泊事業への参入

近年、インバウンド需要の回復や空き家の利活用を背景に、個人・法人を問わず「民泊事業」への参入が増えています。
会社として民泊を行うにあたっては、定款に適切な事業目的を記載することが必須です。
本コラムでは、司法書士の視点から、民泊に関する定款の書き方や具体的な事業目的の記載例について詳しく解説します。

民泊とは? 住宅宿泊事業と旅館業の違い

「民泊」と一言で言っても、法律上の位置づけは大きく異なります。
法人が行う場合、対象となる制度は主に以下の2つです。

種類 根拠法 概要
住宅宿泊事業(いわゆる民泊) 住宅宿泊事業法(民泊新法) 年間180日以内の営業・届出制
簡易宿所営業(いわゆる旅館業民泊) 旅館業法 年間制限なし・許可制

このように、営業形態によって適用される法律が異なるため、定款上もこれらのいずれに対応するのかを意識した記載が求められます。

民泊を行う会社の定款に必要な事業目的とは?

民泊事業を営むにあたっては、次のような事業目的を定款に記載しておくと実務上安心です。

▼事業目的の記載例(標準)

・住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業
・旅館業法に基づく簡易宿所営業
・民泊施設の運営および管理業務

この3点を盛り込むことで、住宅宿泊事業法と旅館業法の両方に対応可能となり、将来的な営業形態の変更にも柔軟に対応できます。

補足的に検討すべき関連目的

民泊事業の周辺業務も想定される場合は、以下の目的も併記することが望ましいです。

・不動産の売買、賃貸、管理および仲介業
・建物のリフォーム、内装工事の設計および施工
・宿泊施設に附随する飲食店の経営
・インターネットを利用した宿泊予約情報の提供

これらを含めることで、民泊物件の取得・改装・運用・予約管理まで一貫して自社対応できる体制を法的に裏付けることができます。

記載漏れがあるとどうなる?実務上の注意点

定款の事業目的に必要な記載がない場合、以下のような支障が生じる可能性があります。

・住宅宿泊事業や旅館業の届出・許可申請で受理されない
・金融機関から融資や口座開設を断られる
・不動産取引等の際に業務内容の正当性が問われる

そのため、会社設立時点または民泊事業開始前には、定款の目的確認および必要に応じた変更登記が非常に重要です。

手続きのご依頼・ご相談

民泊事業を法人で行う際には、住宅宿泊事業と旅館業のいずれに対応するのかを踏まえた上で、定款に適切な事業目的を記載することが重要です。
「事業目的に何を入れるべきか分からない」「許認可に対応した表現にしたい」といった場合は、専門家にご相談ください。

会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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