土地の登記漏れがあった場合の対処法と防止策を司法書士が徹底解説
登記漏れ
相続や不動産取得の際に見落とされやすい「登記漏れ」。
特に土地については、所有者の認識の有無に関わらず、登記が未了のまま放置されるケースが後を絶ちません。
この記事では、登記漏れが起こりやすい土地の特徴、発覚した場合の対処方法、そして漏れを防ぐための実務的な確認手順について、司法書士の視点から解説します。
登記漏れが生じやすい不動産の例
不動産の種類 | 登記漏れが生じる理由 |
---|---|
前面道路(私道) | 自治体の所有ではなく、個人共有の私道であることに気づかないケース |
敷地内の空地や未利用地 | 利用実態がなく、固定資産税の通知も別送されるため把握が漏れやすい |
マンションの付属建物(物置、車庫等) | 本体建物の登記で済んだと思い込み、附属部分の登記を怠ることがある |
敷地権未登記の土地 | 古い区分所有建物などで、敷地権登記がなされておらず見落とされることがある |
ごみ置き場、用水路、墓地などの共有地 | 遺産分割協議書から漏れやすく、名寄帳にも出てこない場合がある |
登記漏れを防ぐための確認方法
1.固定資産税納税通知書を確認
・所有不動産の所在地や地番が記載されている
・非課税地(私道等)は記載されないことに注意
2.登記識別情報通知(旧権利証)を精査
・所有する不動産の登記済情報がまとめられている
3.名寄帳を市区町村役場で取得
・所有者ごとの不動産情報が一覧で確認でき、未課税地も把握可能
4.公図・登記事項証明書との照合
・実地調査と照らし合わせ、共有地や境界未確定地も漏れなくチェック
登記漏れが発覚した場合の対応
登記原因別に対応方法が異なります。
1. 遺産分割協議書に記載がある場合
・原則としてその内容に基づき相続登記可能
・不動産の特定が不十分な場合でも「包括取得条項」があれば登記できることも
2. 遺産分割協議書に記載がない場合
・協議書を再作成する必要あり
・相続人全員の同意のうえ、追加協議が求められる
3. 法定相続による登記
・法定相続分に従ってそのまま登記申請が可能
4. 遺言による登記
・遺言書に「その他一切の遺産を取得する」旨の包括条項があるか確認
・明記がなければ遺産分割協議が必要
未登記不動産のリスクと対応
・相続登記が義務化(令和6年4月施行)
・正当な理由なく3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料対象
・売却・融資・名義変更が困難
・所有権の対抗要件を満たさず、トラブルの原因に
登記がなされていない土地・建物は、相続放棄や国庫帰属制度などを検討することも必要です。
手続きのご依頼・ご相談
相続登記や不動産名義変更における漏れは、あとになって多大な労力と費用を要します。特に私道や共有地などの登記漏れは、相続人が把握しきれないことも多く、専門家による事前確認が非常に有効です。
不動産登記・会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。