仮登記が付いた不動産を相続したら?抹消手続・本登記の方法と費用を詳しく解説
仮登記とは何か
仮登記とは、本来行うべき登記に必要な要件がまだ整っていない場合に、将来の本登記に備えて登記順位を確保しておく制度です。
たとえば、売買契約が成立しているものの必要書類が不足している場合や、行政許可待ちの場合などに利用されます。
仮登記がなされると、仮登記以降に登記された第三者に対しても、本登記をすれば優先的な権利を主張することができます。
仮登記付き不動産を相続した場合の取り扱い
仮登記付きの不動産を相続した場合、原則として以下の手続が必要です。
1.まず仮登記の移転登記をする
2.仮登記の抹消または本登記を行う
3.相続登記(名義変更)を完了させる
仮登記を放置しておくと、第三者から権利を主張されるリスクがあるため、速やかな対応が求められます。
仮登記の種類と相続における対応
仮登記の種類 | 概要 | 相続時の対応 |
---|---|---|
1号仮登記 | 効果は生じているが、形式要件が未了(例:書類不足) | 本登記を申請後、相続登記 |
2号仮登記 | 効果未発生(例:売買代金未払い、許可未取得) | 債務履行・条件充足後、本登記または抹消 |
仮登記を抹消する必要があるケース
仮登記には抹消が必要な場合があります。たとえば、次のような場合です。
・売買契約が破棄されているのに仮登記が残っている
・債務が弁済されているのに担保仮登記が消えていない
抹消せずに放置すると、仮登記名義人が本登記をしてしまうリスクがあり、相続人が不利益を被るおそれがあります。
仮登記抹消手続の流れ
1.相続人が仮登記の移転登記を行う
2.仮登記名義人に抹消承諾を依頼する
3.抹消登記申請をする
必要書類には、以下が含まれます。
・登記申請書
・抹消承諾書(仮登記名義人作成)
・印鑑登録証明書(仮登記名義人)
・登記原因証明情報(弁済証明書など)
・登記識別情報または登記済証
登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。
仮登記名義人と連絡が取れない場合
仮登記名義人と連絡がつかない場合、家庭裁判所や地方裁判所に訴訟を提起し、仮登記抹消登記手続請求の判決を得る必要があります。判決確定後、その判決書を添付して抹消登記を申請します。
農地法許可待ちの仮登記の相続
農地法許可を前提とした仮登記(例:農地法3条許可待ち)の場合、以下の対応が必要です。
・許可を取得後、本登記を行い、その後相続登記
・許可が得られない場合、仮登記抹消を検討
許可が下りないまま相続が発生した場合、譲渡人側との協議や、新たな許可申請が求められることもあります。
仮登記付き不動産を相続する場合の注意点まとめ
・相続登記だけでは不十分…仮登記の本登記または抹消が不可欠
・第三者の権利リスクを防止…仮登記放置は権利侵害の危険
・専門家への相談が重要…仮登記の種類や状況に応じた正確な判断が必要
仮登記がある場合、通常の相続手続とは異なり、非常に慎重な対応が求められます。
登記事項証明書に仮登記の記載があるときは、できるだけ早期に司法書士などの専門家へご相談ください。
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