期間計算

【期間計算シリーズ番外編】「午前0時」「応当日なし」「例外パターン」実務リスク集

期間計算の実務リスク集

シリーズ完結後も、なお整理しておきたい【地味に怖い例外パターン】を、番外編としてまとめました。

1.「午前0時」基準の盲点

会社法・民法上、効力発生日や起算点が「午前0時」となる場面は多いですが、すべてのケースで午前0時基準と考えてよいわけではありません。

具体例:株主総会で選任された取締役の就任登記
・その場で就任承諾 ⇒ その時点(昼間)に効力発生 → 初日不算入
・「○月○日付」で就任承諾 ⇒ 午前0時に効力発生 → 初日算入
→「日付のみ指定」か「就任承諾の時間が明示されているか」で違う

2.応当日が存在しない場合(2月問題)

2月は28日または29日しかないため、例えば「1月31日に公告→1か月後」などの場合、応当日(2月31日)が存在しない問題が生じます。

取り扱い
民法143条2項により、最後の月に応当日がないときは、その月の末日に満了する。

よって、

1月31日公告 → 2月28日(または29日)満了

となります。

2月28日が日曜だったら?
→ 民法142条適用で翌営業日に延長(ただし過去起算の場合は延びない)

3.「会社が定めた日」と「効力発生日」ズレ問題

たとえば、
・新設合併・新設分割の「設立日」と、
・登記申請日の関係

は、実務上ズレが生じやすいです。

例:3月31日設立予定

しかし登記申請が4月1日朝になってしまった場合

→この場合、設立日は登記完了日=4月1日になってしまい、事前開示書類の備置期間などがすべてズレるリスクあり。

・ 必ず「朝イチ(法務局開庁直後)申請」を徹底する必要があります。

4.登記所閉庁日に絡む特別ルール

登記申請に関しては、法務局が閉まっている場合、登記所の閉庁日は「休日」とみなして翌開庁日に延長される(実務慣行)が認められています。

ただしこれも、

・「あくまで申請義務の履行猶予」であって、
・効力発生日自体を延ばすものではない
点に注意が必要です。

5.番外編まとめ、「1日ズレ」が手続き上の重大なリスクになる

ケース 誤るとどうなる?
午前0時起算ミス 登記申請期限切れ・遅延リスク
応当日不存在ミス 異議申述期間切れ・手続無効
設立日ズレ 全スケジュールやり直しリスク
登記閉庁日誤解 申請不可による重大トラブル

「日付」「時間」「1日ズレ」は、すべて法務リスクに直結します。
細かいですが、プロフェッショナルこそ“1日単位”にこだわるべきです。

手続きのご依頼・ご相談

会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

ご相談・ご依頼はこちら
お問い合わせ LINE

ご相談・お問い合わせはこちらから