「○月○日をもって効力発生」とは?登記実務・契約実務における日付表現の違いに注意
日付の表現を比較解説
契約書や議事録、登記申請書類などでよく使われる「○月○日をもって」「○月○日から」「○月○日付で」といった日付表現。
一見すると似たような言い回しに思えますが、実務上は明確に「効力発生日」が異なるため、取り扱いには注意が必要です。
特に登記手続きや株主総会の運営においては、この解釈の違いが当事者の権利義務に直結するため、正確な理解が求められます。
「○月○日をもって効力発生」とは?
「○月○日をもって効力発生」と書かれている場合、
これは一般に、その日いっぱい(=○月○日24時)までが旧状態であり、効力は翌日0時から発生すると解釈されます。
例:「2025年4月30日をもって退任」
→ 退任の効力は4月30日24時=5月1日0時に発生する
一方、「○月○日から」は?
「○月○日から効力発生」と記載されている場合は、
その日(○月○日)の午前0時から効力が発生します。
例:「2025年4月30日から就任」
→ 就任日は4月30日付となり、その日1日を通じて権限が有効
日付表現の違いによる影響例
登記簿上の就任・退任日
表現 | 実際の効力発生日 | 登記簿上の記載日 |
---|---|---|
○月○日から | ○月○日0時 | ○月○日 |
○月○日付で | ○月○日0時 | ○月○日 |
○月○日をもって | ○月○日24時(=翌日0時) | 翌日(○月○日+1) |
譲渡効力発生日と議決権の帰属
例えば「4月30日をもって株式譲渡の効力が発生」とした場合、
効力発生日は5月1日0時となるため、
4月30日開催の株主総会では旧株主が議決権を行使することになります。
実務上のポイント
・「をもって」はその日終了時点での効力発生=翌日0時スタート
・「から」「付で」はその日0時に効力発生
・重要な決議日・登記日と絡む場合は、日付の表現ひとつで権利関係が変わる可能性あり
登記申請時は、会社法・法務局の運用を踏まえて正確な日付の記載を心がける必要があります。
手続きのご依頼・ご相談
「○月○日をもって」「○月○日から」「○月○日付で」
どれも似ているようで、登記実務や契約書ではまったく違う結果をもたらします。
特に登記簿記載日、株主の議決権行使、役員の地位の起算日などに直結するため、日付表現は慎重に使い分ける必要があります。
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