不動産登記手続

分筆登記の基礎と実務対応:手続の流れ・費用・留意点を整理

分筆登記とは

分筆登記とは、一筆の土地(1つの地番で管理されている土地)を複数の土地に分け、それぞれ独立した地番を付けて登記する手続です。たとえば、300㎡の土地を150㎡ずつに分ける場合、それぞれが独立した「筆」として登記簿上に現れます。
この登記は、土地の一部を売却する場合や、相続によって複数の相続人に分配する必要がある場合などに行う場合があります。

実務上の典型的な分筆事由

ケース 具体例
不動産売却 一部だけを第三者に売却したいとき
相続 相続人同士で土地を分ける場合
遺言 「土地を分けてそれぞれに相続させる」との記載がある場合
担保設定 土地の一部だけを担保にしたい場合
土地利用の変更 一部を宅地、残りを農地など用途変更を行いたい場合


分筆登記のメリット・デメリット

メリット

メリット 解説
所有権の明確化 共有を避け、単独名義にできるため、後々の売却や活用が容易に
節税対策 地価や用途に応じて課税額が異なり、分筆で評価額を調整できることがある
地目変更が容易に 畑の一部を宅地へ用途転用するなどの柔軟な運用が可能

デメリット

デメリット 解説
接道義務を満たさない場合がある 建築基準法により、分筆後の土地が建築不可となることも
税制優遇が失われることも 小規模宅地等の特例や住宅用地の特例が適用除外となる可能性
建築制限の影響 分筆後の面積により、希望の建物が建てられない場合がある


分筆登記の手続の流れ(境界未確定の場合)

1.土地家屋調査士へ依頼(測量・図面作成)
土地の境界確認、筆界確認書の取得、現地調査などを含みます。

2.境界標の設置
杭や金属標を用いて分筆後の筆界を明示します。

3.法務局への登記申請
申請は法務局への持参・郵送・オンラインで対応可能です。

4.相続登記(必要に応じて)
相続に伴う分筆であれば、司法書士が相続登記を併せて行います。

分筆登記にかかる費用概算

費用項目 金額の目安
登録免許税 一筆あたり1,000円(例:2筆なら2,000円)
土地家屋調査士報酬 境界確定済:10万円前後/未確定:80万〜100万円以上
測量・境界標設置・確認書作成 各10万円前後〜(土地の状況による)


注意すべき法的ポイント

・建築基準法の接道義務  → 建築不可リスクがあるため、分筆前に事前確認が必要。
・市場ニーズに合った形状での分筆  → 細すぎる、または不整形な土地は売却困難になることも。

司法書士・土地家屋調査士との連携がカギ

分筆登記は、土地家屋調査士による表示登記と、司法書士による権利登記が連動して行われるケースも多く見られます。特に相続登記と併せて行う場合には、両者がスムーズに連携することで迅速かつ正確な登記が可能になります。

手続きのご依頼・ご相談

分筆登記は、土地の有効活用・相続対策・税務戦略の一環として非常に重要な制度です。
しかし、その利便性の裏には、接道義務・評価額変動・登記の専門性など、慎重な対応が求められる側面もあります。

ご自身での手続は可能なものの、土地の特性や法規制の把握が不可欠なため、専門家のサポートを受けながら進めることが安心・確実な選択肢です。
不動産登記・会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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