一般財団法人の存続期間の定めとは?定款変更手続きと登記のポイント
一般財団法人独特のルール
一般社団法人や株式会社と比べると、設立件数の少ない「一般財団法人」。
その特殊性から、解散のルールも独特です。
今回は、一般財団法人が「存続期間の定め」を設ける場合の法的手続きや登記のポイントについて、解説します。
一般財団法人とは?株式会社との違い
一般財団法人の最大の特徴は、「財産」そのものに法人格が付与されている点にあります。
株式会社が「人(出資者=株主)の集合体」であるのに対し、一般財団法人は「財産の集合体」として成立しています。
この構造上の違いにより、たとえば寄附をした人が後からやはり返してほしいと求めても、財産はすでに法人に帰属しているため、原則として返還されることはありません。
一般財団法人の解散は自由ではない
株式会社では、株主総会の特別決議によって自由に解散することが可能です。
一方、一般財団法人ではそのような「任意解散」は認められておらず、法定の事由に該当する場合にのみ解散することができます。
解散事由の一つ「存続期間の満了」とは?
一般財団法人が解散する主な事由には、以下のようなものがあります。
一般財団法人の主な解散事由(抜粋)
解散事由 | 内容 |
---|---|
定款で定めた存続期間の満了 | あらかじめ定められた期間が満了したとき |
定款で定めた解散事由の発生 | 条件付きで解散する旨の定めがあった場合 |
基本財産の喪失等による目的の達成不能 | 継続的に法人目的を遂行できなくなった場合 |
合併、破産、裁判による解散命令 | 法的措置による消滅や解散 |
この中で、比較的柔軟に活用できるのが「存続期間の満了」です。
すなわち、あらかじめ定款に「法人の存続は●年間とする」と記載しておけば、その期間が到来した時点で法的に解散事由が発生します。
存続期間の定めを設けるには?~定款変更が必要
存続期間を設けるためには、定款の変更が必要です。
この「存続期間」は定款の相対的記載事項に該当しますので、明示しない限り期間の定めはないものとされます。
定款変更の決議機関:評議員会
一般財団法人における定款変更は、評議員会の決議によって行います。
評議員会とは、理事・監事などの執行機関を監督する「社外的な意思決定機関」
評議員は3名以上で構成され、一定のガバナンス機能を担います
※評議員会は、役員の選任・解任、事業譲渡、合併契約の承認等にも権限を有しています。
登記と登録免許税について
定款を変更して存続期間を新たに設定した場合は、商業登記の申請が必要です。
登録免許税
存続期間の定めに関する登記の登録免許税:3万円
手続きのご依頼・ご相談
一般財団法人に関する登記は、株式会社とは異なる法的要件や機関設計が求められます。
「定款のどこを修正すればよいか分からない」
「登記すべき内容に該当するか判断が難しい」
こうした場面では、法人登記の専門家である司法書士のサポートが不可欠です。
一般財団法人の運営・登記、会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。