所在不明株主の株式の処分方法と対応について
所在不明株主
会社を経営している中で、「株主の所在がわからない」という問題に直面することがあります。
たとえば、過去に株式を持っていた人と長年連絡が取れていない、株主総会招集通知や配当金を送っても宛先不明で戻ってくる。
そんな「眠った株式」が、将来的に会社の大きなリスクになり得ることをご存知でしょうか。
本コラムでは、所在不明の株主がいる場合に取るべき対応や、株式を処分するための手続きについて解説します。
所在不明株主が会社にもたらすリスク
株主の存在は、会社の意思決定に密接に関わっています。株主総会での議決権の行使や、事業承継、M&Aの際にも「すべての株主の意思」が求められる場面があります。
しかし、株主の中に所在不明者がいると、以下のような問題が起こる可能性があります。
・株主総会の開催に支障が出る
・株式譲渡の承認手続が止まる
・事業承継時に株主構成が不明確になり、承継が進まない
・将来、突然現れた株主から議決権や配当の主張をされる
つまり、いまは問題なくても、将来の経営の足かせになるというリスクがあるのです。
所在不明株主の株式はどう処分できる?
このような問題に対応する制度として、「所在不明株主の株式売却制度」があります。
これは、一定の要件を満たせば、会社が所在不明株主の株式を売却、または自己取得することができる制度です。
ただし、この制度を利用するには、法律で定められた条件をクリアする必要があります。
売却の要件と「5年間の音信不通」
所在不明とみなすためには、次の2つの条件をいずれも満たす必要があります。
①株主名簿に記載された住所に5年間通知や催告を送っても届かなかったこと
②株主が5年間、会社からの配当を一度も受け取っていないこと
この2つがそろって初めて、株主は「所在不明」と判断されます。
非上場会社の場合は裁判所の許可が必要
上場企業とは異なり、非上場会社がこの制度を利用する場合、株式の売却や自己取得には家庭裁判所の許可が必要になります。
このとき裁判所は、「本当に所在不明なのか?」を厳しくチェックします。そのため、以下のような具体的な資料の提出が求められます。
・株主総会の招集通知書を送った記録(5年分)
・宛先不明で返送された封筒
・配当通知書の写しや送金記録(配当を出している場合)
・配当金が受け取られていないことの証明 など
通知を送っていない、あるいは記録を残していないという場合は、裁判所の許可が下りない可能性もあるため注意が必要です。
トラブルを防ぐために今からできること
所在不明株主の問題は、時間が経つほど対処が難しくなります。
以下のような事前対策を講じておくことが大切です。
・株主名簿の定期的な確認と更新
・株主に対する連絡記録をしっかり残しておく
・配当金の送付記録の保管
・将来的に問題が出そうな株式は、早めに整理・対話を図る
また、将来的な株主構成の見直しや、事業承継の準備の一環として、司法書士等の専門家に相談しておくことも有効です。
手続きのご依頼・ご相談
会社の株主構成が明確であることは、経営の安定にも、将来の承継や売却にも大きく関わります。
「もう連絡が取れないから」「小さな持分だから」と放置しておくと、思わぬ時に問題が表面化することもあります。
所在不明株主の株式売却制度の活用には、専門的な判断や裁判所対応が必要となりますので専門家へご相談ください。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。