NPO法人設立のポイント、クリアすべき条件と注意点を徹底解説
NPO法人設立のためにクリアすべき条件
NPO法人(特定非営利活動法人)を設立するには、一般的な株式会社などの法人形態とは異なる特有の条件を満たす必要があります。
特に、行政庁の認証手続きや設立時の人員要件など、他の法人よりも厳しい基準があるため、慎重な準備が求められます。
今回は、NPO法人を設立するために必ずクリアしなければならないポイントと、注意すべき点について解説します。
NPO法人設立は時間がかかる
NPO法人を設立するには、「管轄の行政庁の認証」を受ける必要があります。
これは株式会社や合同会社にはない手続きであり、認証を得るまでに数カ月単位の時間がかかるのが一般的です。
手続きの流れ(一般的なケース)
手続きの流れ(一般的なケース)は、以下のとおりです。
1.設立発起人の決定・定款作成
2.設立趣旨書・事業計画書などの作成
3.行政庁へ認証申請(通常2~4カ月かかる)
4.認証を受けた後、法務局で設立登記(登記完了まで約1~2週間)
ポイント:NPO法人の設立を計画する際は、認証手続きにかかる期間を考慮し、余裕をもったスケジュールを立てることが重要です。
設立には多数の人員が必要
NPO法人を設立するには、以下のように一定以上の人数を確保する必要があります。
・ 社員(議決権を持つメンバー) → 最低10名以上
・ 理事 → 最低3名以上
・ 監事 → 最低1名以上
株式会社などは「1人」でも設立可能ですが、NPO法人は最低でも10名以上の構成員が必要です。
さらに、役員構成には親族規制があるため、注意が必要です。
親族規制のポイント
・役員が5名以下の場合 → 親族は1人も入れられない
・役員が6名以上の場合 → 親族は役員総数の3分の1未満であることが必要
親族のみで運営したい場合は、NPO法人ではなく「一般社団法人」などの法人形態を検討するのも一つの選択肢です。
役員報酬には制限がある
NPO法人の役員は、全員が報酬を受け取れるわけではありません。
法律上、報酬を受け取れる役員は「役員総数の3分の1以下」に制限されています。
例えば…
役員が6名の場合 → 報酬を受け取れるのは最大2名まで
役員が9名の場合 → 報酬を受け取れるのは最大3名まで
役員全員が報酬を受け取れるようにしたい場合は、一般社団法人や株式会社の形態を検討するのも一案です。
事業目的には制限がある
NPO法人は、指定された「20種類の特定非営利活動」のいずれかに該当する目的を持つ必要があります。
主な活動例
・ 保健・医療・福祉の増進
・ 環境保全活動
・ 子どもの健全育成
・ 学術・文化・芸術・スポーツの振興
・ 災害救援活動
営利目的、宗教活動、政治活動を主な目的とする法人は、NPO法人として認められません。
事業内容がNPO法人の対象に当てはまるかどうか、事前にしっかり確認することが大切です。
設立後の運営にも注意が必要
NPO法人は設立後も毎年の報告義務があります。
NPO法人が提出すべき書類(毎年)
・ 事業報告書
・ 活動計算書
・ 財産目録
・ 役員名簿
提出を怠ると、NPO法人の運営に支障をきたす可能性があるため、しっかり管理する必要があります。
また、法人を維持するためには一定の活動実績が求められるため、実際に運営できるかどうかを事前に検討することが重要です。
他の法人形態との比較も検討する
「NPO法人を作りたいけど、本当に適しているのか?」と悩んでいる方は、他の法人形態と比較して検討することをおすすめします。
NPO法人・一般社団法人・株式会社比較
法人形態 | 設立のしやすさ | 事業の自由度 | 税制優遇 | 人員要件 |
---|---|---|---|---|
NPO法人 | 難しい(行政庁の認証が必要) | 限定的(非営利目的のみ) | あり | 社員10名、役員4名以上 |
一般社団法人 | 比較的簡単 | 自由(営利事業も可) | 条件によってあり | 役員2名以上 |
株式会社 | 簡単(登記のみでOK) | 自由(営利目的OK) | なし | 1名でも設立可 |
「設立のしやすさ」「事業の自由度」を重視する場合は、一般社団法人や株式会社も選択肢として考えるとよいでしょう。
NPO法人を設立するために必要なこと
本日は、NPO法人設立のポイント、クリアすべき条件と注意点を解説しました。
本コラムをまとめますと、
・ 認証手続きに時間がかかるため、計画的に進める
・ 社員10名、役員4名以上が必要(親族規制あり)
・ 役員の報酬は「総数の3分の1以下」に制限される
・ 事業目的は「特定非営利活動」に該当するもののみ
・ 設立後も、毎年の報告義務がある
・ 他の法人形態(一般社団法人・株式会社)とも比較検討する
NPO法人は、社会貢献を目的とした活動を行うための法人形態ですが、設立のハードルが高く、維持管理にも手間がかかるため、慎重に検討することが大切です。
NPO法人設立、会社法人(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。