解散・清算

合同会社の清算手続きとスケジュール例を解説

合同会社清算手続

合同会社を解散すると、すぐに会社が消滅するわけではなく、「清算手続」 を経る必要があります。
清算とは、会社の未回収債権の回収や未払い債務の弁済を行い、残った財産を出資者に分配する手続きです。
本記事では、合同会社の清算手続きの流れやスケジュール例、注意点 について詳しく解説します。

合同会社の清算手続きとは?

合同会社の清算手続きとは、以下のような業務を指します。

・ 未回収の債権を回収する
・ 未払いの債務を弁済する
・ 財産を整理し、残った財産を出資者へ分配する
・ 最終的に清算結了の登記を行い、法人を消滅させる

清算には通常2ヶ月以上かかります。
合同会社の清算では、官報公告で債権者に通知を行い、2ヶ月間の申し出期間を設ける必要がある ため、解散後すぐに手続きを完了することはできません。

清算手続きの流れとスケジュール例

合同会社の清算手続きは、解散を決定した日から最短でも約2〜3ヶ月 かかるのが一般的です。
以下、標準的なスケジュール例を紹介します。

日程 手続き内容
1日目 総社員の同意(解散決議・清算人選任)
1日目 官報公告の申込み(解散公告・債権者通知)
1〜14日目 解散登記・清算人選任登記の申請(法務局)
1日目以降 会社財産の調査・財産目録・貸借対照表の作成
15〜20日目 官報に解散公告が掲載
15〜45日目 債権者への個別通知(「知れたる債権者」へ催告)
解散後2ヶ月後 債権申出期間の終了
解散後2ヶ月後〜3ヶ月後 債務の弁済・残余財産の分配
解散後3ヶ月後 清算計算書の作成・総社員の承認
解散後3ヶ月後〜4ヶ月後 清算結了登記(法務局)・税務署への届出


注意点

・官報公告の掲載には10営業日ほどかかる → 早めに手続きする
・税務署への確定申告(解散後2ヶ月以内)も忘れずに
・清算結了の登記は、総社員の承認後2週間以内に行う


清算手続きの詳細


①解散決議・清算人の選任

合同会社を清算するには、「解散」と「清算人の選任」 を行う必要があります。

解散の決議方法
合同会社は、「総社員の同意」 により解散を決定するのが一般的です(会社法第641条)。

清算人とは?
会社の財産整理や債務弁済を行う役割を担います。
清算人には、「業務執行社員」 が自動的に就任するのが原則です。
(定款の定めがあれば、別の者を選任することも可能)

登記申請(法務局)
解散および清算人選任の登記は、効力発生から2週間以内 に法務局へ申請する必要があります。

②官報公告・債権者への通知

合同会社の清算では、会社の債権者に対して「解散したこと」を通知する義務があります。

「官報公告」 とは?
官報(政府の発行する公告媒体)に公告を出し、「債権がある場合は申し出てください」 と周知する手続きです。
・官報公告には約10営業日かかるため、早めに申し込む
・公告掲載日から2ヶ月間、債権の申し出期間が必要

「知れたる債権者」への個別通知
・取引のあった債権者には、個別に通知を送付する必要がある
・知らない債権者については官報公告のみで良い

③財産目録・貸借対照表の作成

清算人は、解散後すぐに会社の財産を調査し、財産目録・貸借対照表を作成します。
これは、清算手続きの基準となるため、正確に作成する必要があります。

作成する書類
・財産目録:会社の資産・負債の一覧
・貸借対照表:解散時点の財務状況

これらの書類は、総社員に通知し、承認を受ける必要があります。

④債権回収・債務の弁済

債権者からの申し出期間(官報公告後2ヶ月間)が終了した後、未回収の債権を回収し、未払いの債務を弁済します。

債務の弁済は、債権者が確定するまで行えないため注意

⑤残余財産の分配

全ての債務を弁済した後、会社に財産が残っている場合は、出資者に分配します。

分配割合は?
・定款に規定がある場合 → その規定に従う
・定款に規定がない場合 → 出資割合に応じて分配(会社法第666条)

財産が残らなかった場合は分配不要

⑥清算計算書の作成・総社員の承認

残余財産の分配が終わった後、清算人が「清算計算書」を作成 し、総社員の承認を得る 必要があります(会社法第667条)。

清算計算書の内容
・解散時の財産状況
・債権回収・債務弁済の状況
・残余財産の分配内容

⑦清算結了の登記・税務署への届出

清算結了登記(法務局)
・総社員の承認後、2週間以内に清算結了の登記を行う
・登録免許税は2,000円

税務署への届出
・解散・清算結了後、税務署へ「異動届出書」を提出

この手続きを終えることで、合同会社は正式に消滅します。

手続きのご依頼・ご相談

合同会社の解散および清算について解説しました。
本コラムをまとめますと、

・ 合同会社の清算は、解散決議後、債務弁済・財産分配を経て完了する
・ 官報公告の掲載から2ヶ月間は債権者の申し出期間を設ける必要がある
・ 清算結了後、法務局で「清算結了登記」を行い、法人を正式に消滅させる

合同会社の清算は、手続きを正しく進めることが重要です。
必要な書類やスケジュールを事前に確認し、適切に対応しましょう。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

ご相談・ご依頼はこちら
お問い合わせ LINE

ご相談・お問い合わせはこちらから