仮取締役

仮取締役とは?その役割と必要性について

仮取締役とは

仮取締役(または一時取締役)とは、取締役が欠員した場合や役員の員数が不足している状況で、会社運営に支障が出るのを防ぐために、裁判所によって一時的に選任される取締役のことを指します。この制度は会社法第346条に基づき、緊急的に会社の業務を安定させるために設けられています。

仮取締役が必要となるケース

1.取締役が欠員している場合
・取締役が死亡、辞任、または行方不明になり、会社の取締役会が機能しない場合
・取締役が病気や事故で職務を遂行できない場合

2.株主総会が開催できない場合
・取締役の欠員により株主総会の招集ができず、後任の取締役を選任する手続きが滞るケース

3.会社の業務に支障が出る場合
・取締役会が定足数を満たさず、重要な経営判断や株主総会の招集が行えない場合

仮取締役選任の条件

仮取締役が選任されるためには、以下の条件を満たす必要があります。

1.取締役が欠けている、または員数不足の状態であること
・取締役が退任、死亡、不在の場合や、定款や会社法で定められた取締役の員数が不足している場合に該当します。
・一時的な病気や休暇であれば仮取締役の必要性は認められません。

2.仮取締役の選任が必要であること
・株主総会や取締役会で後任の選任ができる場合には、仮取締役を選任する必要性はありません。
・しかし、株主間の対立などにより株主総会を開催できない場合や、取締役会の定足数を満たしていない場合は、仮取締役選任が必要とされます。

仮取締役の選任手続き

仮取締役の選任は、会社の利害関係人(株主、他の役員、従業員、債権者など)によって裁判所に申立てが行われます。以下は、選任までの流れです。

1.必要書類の準備
・会社の履歴事項全部証明書
・定款の写し
・退任した取締役の状況を証明する資料(死亡の場合は除籍謄本など)
・仮取締役選任の必要性を説明した陳述書

2.申立て
会社の本店所在地を管轄する地方裁判所に申立てを行います。

3.裁判所の審査と選任
裁判所は申立人や候補者からの意見を聴取し、必要性を判断します。
選任が決定すると、仮取締役は登記され、会社の業務に携わることが可能になります。


仮取締役の役割と権限

仮取締役は通常の取締役と同じ権限を有し、会社の業務を円滑に進めるために必要な職務を遂行します。主な役割には次のようなものがあります。

1.株主総会の招集
株主総会を開催し、新たな取締役の選任手続きを行います。

2.緊急的な経営判断
会社の運営に支障が出ないよう、必要な業務を進めます。

3.職務執行後の報告
仮取締役としての職務が完了した後、裁判所に対して業務内容を報告します。

仮取締役選任の注意点

1.仮取締役の報酬
仮取締役の報酬は、裁判所の判断に基づき、会社が負担することが一般的です。報酬額は業務内容や任期の長さによって異なります。

2.候補者の選定
申立人は仮取締役の候補者を推薦することができますが、最終的な選任は裁判所が決定します。経営権を巡る争いがある場合、裁判所が弁護士などの第三者を選任することもあります。

3.選任の必要性の判断
株主総会や取締役会で解決できる場合、仮取締役の選任は認められません。そのため、申立て時には必要性を具体的に説明することが重要です。

手続きのご依頼・ご相談

仮取締役は、会社の経営が停滞するのを防ぎ、後任取締役を選任するための重要な役割を果たします。特に、取締役が急に不在となった場合や会社運営に混乱が生じた場合には、仮取締役の迅速な選任が会社の安定に繋がります。
本日は、仮取締役とその役割について解説しました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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