株主総会議事録の作成者、取締役の交代時に確認すべきポイントを解説
株主総会議事録の作成者
株主総会議事録の作成者について、「取締役が交代する場面では誰が議事録を作成するのか?」と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、株主総会議事録の作成者に関するルールや具体的な事例について解説します。
株主総会議事録の作成者とは?
会社法上、株主総会議事録は取締役が作成するとされています(会社法第318条)。
株主総会議事録には以下の事項を記録します。
株主総会議事録に記載すべき事項
・開催日時及び場所
・議事の経過の要領及びその結果
・総会において述べられた意見または発言の概要
・株主総会に出席した取締役、執行役、会計参与、監査役または会計監査人の氏名または名称
・株主総会の議長がいる場合は議長の氏名
・議事録の作成にかかる職務を行った取締役の氏名
旧商法時代には、議長や出席取締役全員の記名押印が必要とされていましたが、現在では不要ですが、実務上、議事録作成者が議事録に押印をしているケースが多いです。
取締役が交代する場合、議事録作成者は誰になるのか?
議事録作成者に関して特に注意が必要なのは、株主総会の場で取締役が交代する場面です。ここで、以下の2つの事例を考えてみます。
事例1:株主総会の終了と同時に取締役が辞任し、後任が就任
・総会中は取締役Aが在任しており、株主総会の終結と同時にAが辞任。後任としてXが選任される。
事例2:株主総会の途中で取締役が辞任し、後任が就任
・総会中に取締役Aが辞任し、その場で後任としてXが選任される。
見解の分かれる議事録作成権限について
上記の事例において、議事録を作成する権限が誰にあるのかについては、実務上いくつかの解釈があります。
見解1:総会に参加した取締役が作成する
事例1の場合:辞任したAが作成権限を持ち、後任のXには作成権限がない。
事例2の場合:総会に参加していたAにもXにも作成権限がある。
この見解では、「議事録は総会の議事に関与していた取締役が作成するべき」と解釈されます。
見解2:議事録作成時点の取締役が作成する
事例1の場合:辞任したAには作成権限がなく、後任のXが作成権限を持つ。
事例2の場合:辞任したAではなく、後任のXが作成権限を持つ。
この見解では、「議事録作成は総会の議事に関与していたかどうかではなく、作成時点で取締役の地位にある者が行うべき」と解釈されます。
登記実務における取扱い
実務上、登記所においては、見解1(総会に参加した取締役が作成する)に近い考え方が採用されることが多いようです。
ただし、見解2(議事録作成時点の取締役が作成する)に基づいて議事録を作成し、それをもとに登記申請を行っても、否定されるわけではありません。
つまり結論としては、いずれを採用しても問題ないということになります。
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本日は株主総会議事録の作成者、取締役の交代時に検討すべきポイントを解説しました。
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