香港人や香港の法人が日本で株式会社を設立する場合の手続きと必要書類
香港人や香港の法人が日本で株式会社を設立する場合の手続きと必要書類
外国人または外国法人の会社設立
外国人または外国法人が発起人(出資者)となって日本で株式会社の設立をしたい場合に必要となる手続きを解説します。
まず、日本で株式会社を設立するに際しては、定款(中国・香港でいうところの組織章程細則)を作成し、公証役場で認証をします。
通常、日本人が発起人(出資者)となる場合は、印鑑登録証明書(日本法人が発起人の場合は、法人印鑑証明書)を添付しますが、香港の方は、日本とおなじような印鑑登録証明書がないため、署名証明書(サイン証明書)を作成し印鑑登録証明書の代わりにします。
署名証明書(サイン証明書)は、公証書で作成するのが一般的でもっとも確実な方法です。
一部ウェブサイトで、香港民政事務総處の署名証明書「聲明」を使用することが出来るという情報がありますが、これについては定款認証を行う公証役場で使用可能か判断が分かれるところで、要確認となりますので、現地の公証人の交証のある署名証明書を用意するのが確実と考えます。
外国法人が発起人となる場合
日本法人が発起人(出資者)となる場合は、資格証明書として当該法人の履歴事項全部証明書を提出することで事足りておりましたが、外国法人が発起人となる場合は、資格証明書としてどのような書類を提出すればよいのでしょうか?
香港法人の場合は、NNC1という会社設立時の申請書法人情報が記載(社名、登録住所、資本金、株主・取締役情報)されているものがあり、これを資格証明書として使用することが可能です。NNC1は、ウェブサイト上で取得が可能です。
なお、NNC1の中に、法人代表者の署名がありますが、別途、上述した署名証明書の取得は必要となります。
外国法人の資格証明書は、NNC1だけでなく、登記事項をすべて盛り込んだ宣誓供述書(現地で認証を得たもの)でも使用可能です。
香港法人の場合はNNC1がありますが、登記制度のない国の場合、一律、宣誓供述書で対応します。
その他の必要書類
香港人または香港の法人が日本の公証役場で定款認証を受けて会社を設立する場合に必要となる書類は以下の通りです。
・NNC1+その日本語訳
・署名証明書(サイン証明書)の原本+その日本語訳
・定款認証委任状+定款(サイン証明書と同じサインを各ページにしたもの)
・実質的支配者リスト
・実質的支配者の本人確認書類(パスポートの写しなど)
出資金の払込手続きについて
上述した書類の他に、登記に際しては、役員となる方の就任承諾書や出資金の払込証明書などが必要となります。
出資金の受け入れ口座は、日本の金融機関等の口座である必要がありますので、設立時役員に出資金の受領権限を与えて払込証明を行う形で手続きを進めるのがスムーズです。
設立時役員も非居住者で日本の金融機関等の口座を有していない場合は、他に日本の銀行口座を有する第三者に出資金の受領権限を与えてその者が証明する形で手続きを進めることも可能です。
上記いずれの場合であっても、発起人から当該者へ受領権限を与えた旨の委任状が合わせて必要となります。
なお、設立時役員が非居住者ですと、法人設立後の銀行口座開設の難易度が相当高くなると思われますので設立時の役員は日本に居住されている方を選定するのが良いかと思います。
手続きのご依頼・ご相談
本日は香港人や香港の法人が日本で株式会社を設立する場合の手続きと必要書類を解説しました。
外国人や外国法人が出資者となる日本法人の設立や会社法人(商業登記)登記手続に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。