資本金・資本準備金・利益準備金・その他資本剰余金・その他利益剰余金の振替について
資本金・資本準備金・利益準備金・その他資本剰余金・その他利益剰余金の振替について
各項目間の振替手続きについて
貸借対照表で表示される「純資産の部」における「自己株式」以外の各項目については、それぞれの項目間で振替を行うことができます。この記事では、株主資本の「自己株式」を除く各項目間の振替手続きについて、わかりやすく解説していきます。
資本金からの振替
各項目間の振替手続き | 概要 | 必要になる手続き |
資本準備金への振替 | 資本金の額を減少して、資本準備金の額を増加する(会社法447条1項2号)
なお、資本金の額の減少額につき、資本準備金に振り替えなかった分はその他資本剰余金に振り替えられます |
① 株主総会の特別決議(※)
② 債権者保護手続き ③ 効力発生日から2週間以内に資本金額の変更登記(会社法915条1項) ※普通決議で足りるケースもあり(会社法309条2項9号) ※取締役の決定(取締役会の決議)で足りるケース(会社法447条3項) |
利益準備金への振替 | 振替できない | − |
その他資本剰余金への振替 | 資本金の額を減少して、その他資本剰余金の額を増加する(会社法447条1項) | 資本準備金への振替と同様 |
その他利益剰余金への振替 | 振替できない
ただし、減少させた資本金の額→その他資本剰余金→その他利益剰余金の順での振替なら可能 |
− |
資本準備金からの振替
各項目間の振替手続き | 概要 | 必要になる手続き |
資本金への振替 | 資本準備金の額を減少して、資本金の額を増加できる(会社法448条1項)
なお、資本準備金の額の減少額につき、資本金に振り替えなかった分は、その他資本剰余金に振り替えられます |
株主総会の普通決議
※取締役の決定(もしくは取締役会の決議)で足りるケース(会社法448条3項)。 ※減少する資本準備金の額の全部を資本金とする場合、債権者保護手続きは不要となります(会社法449条1項)。 |
利益準備金への振替 | 振替できない | − |
その他資本剰余金への振替 | 資本準備金の額を減少して、その他資本剰余金の額を増加できる(会社法448条1項) | 株主総会の普通決議
債権者保護手続き ※取締役の決定(もしくは取締役会の決議)で足りるケース(会社法448条3項) ※定時株主総会において、欠損の額として法務省令で定める方法により算定される額を超えない額を減少させる場合、債権者保護手続きは不要となる(会社法449条1項) |
その他利益剰余金への振替 | 振替できない
ただし、減少させた資本金の額→その他資本剰余金→その他利益剰余金の順での振替なら可能 |
− |
利益準備金からの振替
各項目間の振替手続き | 概要 | 必要になる手続き |
資本金への振替 | 利益準備金の額を減少して、資本金の額を増加できる(会社法448条1項)
なお、利益準備金の額の減少額につき、資本金に振り替えなかった分は、その他資本剰余金に振り替えられます |
資本準備金から資本金への振替手続きと同様 |
資本準備金への振替 | 振替できない | − |
その他資本剰余金への振替 | 振替できない | − |
その他利益剰余金への振替 | 利益準備金の額を減少して、その他利益剰余金の額を増加できる(会社法第448条1項) | 資本準備金からその他資本剰余金への振替手続きと同様 |
その他資本剰余金からの振替
各項目間の振替手続き | 概要 | 必要になる手続き |
資本金への振替 | その他資本剰余金の額を減少して、資本金の額を増加できる(会社法第450条1項) | 株主総会の普通決議 |
資本準備金への振替 | その他資本剰余金の額を減少して、資本準備金を増加できる(会社法第451条1項) | 株主総会の普通決議 |
利益準備金への振替 | 振替できない | − |
その他利益剰余金への振替 | その他資本剰余金の額を減少して、その他利益剰余金の額を増加できる(会社法452条) | 株主総会の普通決議 |
その他利益剰余金からの振替
各項目間の振替手続き | 概要 | 必要になる手続き |
資本金への振替 | その他利益剰余金の額を減少して、資本金の額を増加できる(会社法第450条1項) | 株主総会の普通決議 |
資本準備金への振替 | 振替できない | − |
利益準備金への振替 | その他利益剰余金の額を減少して、利益準備金を増加できる(会社法第451条1項)。 | 株主総会の普通決議 |
その他利資本余金への振替 | 事業年度末において、その他資本剰余金がマイナスだった場合、その他資本剰余金をゼロとし、その他利益剰余金から減額する会計上の手続きを行う |
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手続きのご依頼・ご相談
この記事では、株主資本の「自己株式」を除く各項目間の振替手続きについて解説しました。
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